クリエイティブを目指す人への資格。

世界150カ国以上で受験され、日本でも『今後取得を目指す資格』で3年連続第1位に選ばれ(※1)、今注目を浴びているLPIC試験。
そんなITの知識をWebクリエイターが学ぶ必要性を、LPI-Japan成井弦理事長に伺ってきました。

まず、LPICとはどのような試験なのでしょうか?

LPICは、正式名称を「Linux技術者認定試験」といいます。
この試験では、Linux技術を扱うIT専門家の能力を3段階のレベル別に認定しています。

Linux技術とはたとえばどんなことでしょうか?

LinuxはOS(オペレーティングシステム)(※2)の一種で、試験では、Linuxの仕組みやその操作方法を把握する基本的なところから、サーバーを構築するところまで非常に幅広い知識が問われます。

ちなみにサーバーとは、ネットワークを利用して多くのPCに色々な機能やデータを提供するコンピュータのことです。

インターネットの世界は、メールサーバーやWebサーバーといったいろいろな種類のサーバーがあってはじめて成り立ちます。
LinuxはOSの中でインターネット系のサーバーを構築するのに最も適しており、世界中でトップのシェアを誇っているのです。

それはなぜでしょうか?

「非常に信頼性が高い」、「OSの中身が100%公開されている」、「無償で入手が可能」といった点だと思います。

なるほど。Linuxが世界中のITエンジニアから注目を浴びているのはそのためですね。

ITエンジニアに限ったことではありません。
むしろインターネット・アカデミーでWebデザインやコンテンツマネジメントを勉強している人にこそ、Linuxの技術を学んでほしいと思っています。

それは何故でしょうか?

例えば、写真を例にあげてみましょう。
デジタルカメラはカメラマンではなくメーカーの技術者が作り出したものですが、そのデジタルカメラの仕組みを知らないと良い写真は撮れません。

ストロボだって、数限りなく種類と組み合わせがあります。
何を選択するかは、センスとはまた別の知識があってはじめて考えられることなのです。

それはWebデザインの世界も一緒。
動画をどのように使用するか等も含めて、自分の持っているクリエイティビティをどう表現し、どう伝えるのかは、IT技術の理解度で全く変わってくるのです。

なるほど。何ができて何ができないのか、はインターネットやサーバーの知識がないとわからないですからね。

そう。今や、メディアを通して伝達される「コンテンツ」と、専門技術としての「IT」は表裏一体になりつつあります。
私はそれを、「コンテンツ&IT = C&I(Contents & Information Technology)」と呼んでいます。

携帯電話だって、そうですよね。
以前は、電話機能としての会話ができればそれでよかった。
でも、今は動画を見たり、音楽を聴いたり、写真を撮ってホームページに簡単に掲載ができたり…。
そういったコンテンツのために技術が使われ、生み出されていますよね。

Webで言えば、文字と簡単な映像を表示することが全てでしたが、今は誰でも世界に向けて動画や音楽も発信できて、気持ちを伝達するためのコミュニケーションツールにもなっています。

だから、アーティスト系の人こそ技術的なことを知らなくてはならない時代になったのです。

アーティストと技術者は別物、という考え方が既に古いのですね。

多くの人は、「自分はパソコンを知らないから」「ITはよくわからないから」と敬遠してしまいがちです。
でもその中で、『私は知っている』というのは非常に強みになります。

とくにクリエイティブな仕事であるほど、その人固有の作風やアイディアが求められますから、技術的な知識は今後絶対に身につけるべき分野なのです。

そもそも、パソコンを使わないクリエイティブな作業というのが、現代においてはほとんどありませんから。

たしかに…。

結局、デザインも技術的なことも両方知っている人の方が仕事が早くていいものが作れるのです。

知識があれば、「この場合はこういうテクノロジーを使おう!」と自分のストックの中から採用できるようになりますから。

では、Web業界のクリエイターが「LPIC」試験を勉強する意義とはなんでしょうか?

大きく分けて2つあります。

1つ目は、世界中で一番多く使われているWebサーバーが「Linux」だということ。

これからWeb業界に入ろうとしている人で、就職活動時に「LPIC」を持っていれば市場価値がぐっと高くなり、非常に強い差別化の要素になります。

2つ目は、試験の内容が実務に即した内容だということです。
ただ単に知識を問うためのものではありませんから、学んだ内容がすぐに業務に活きてきます。
そのためか、直近の@IT自分戦略研究所の調査にて『今後取得を目指すベンダーニュートラルのIT資格』で3年連続第1位に選ばれました。

とくにクリエイティブな仕事であるほど、その人固有の作風やアイディアが求められますから、技術的な知識は今後絶対に身につけるべき分野なのです。

そもそも、パソコンを使わないクリエイティブな作業というのが、現代においてはほとんどありませんから。

受験者数も増えているようですね。

Linuxの普及が進んだ影響も強く、国内では128,000人を突破しました。
今後は女性にももっと多く受験してほしいと考えております。

日本ではIT技術者というと女性の仕事としてあまりイメージがわかない人も多いのですが、アメリカのシリコンバレーでも働く女性は非常に多いです。
インドだってIT技術者の3~4割はサリーを着た女性達です。

いま、確実に「Linux」技術の普及が進み、「C&I」の時代になりつつあります。

だからこそ、女性や若い方々にはどんどんITの分野に飛び込んできてほしいのです。
誰の目から見ても、ITはこれからも伸び続けていく分野ですから、他の人より早く、はじめてほしい。

インターネット・アカデミーはLPI-Japanのアカデミック認定校であり、講義を通して短期間で「C&I」のスキルを身につけることができます。
私は、より多くの方に専門的な知識を身につけることで自分の可能性を広げていってほしいと強く願っています。

(※1)@IT自分戦略研究所調べ。
資格は、IT系の資格で特定のベンダーに依存しない「ベンダーニュートラル」試験に限る。

(※2)OSとは、コンピュータのシステム全体を管理するためのソフトのことで、WindowsやMacintoshなどもその一種です。

PROFILE

特定非営利活動法人 LPI-Japan
理事長 兼 LPI本部 理事
成井弦

Linux技術者認定機関であるLPIの日本法人理事長。 Linuxの普及・日本の技術力強化に全力を注ぎ、日本を有数のLinux推進国にした立役者である。

ANOTHER INTERVIEW

SRA OSS、Inc.日本支社 取締役支社長

特定非営利活動法人LPI-Japan理事長

Webコンサルティング会社ブルー・バンブー代表取締役社長