データベースを操作するためのソフトウェア「PostgreSQL」。
そのニーズと可能性を、SRA OSS, Inc. 日本支社支社長の石井達夫さんからお伺いしてきました。
まず、PostgreSQLとはどのようなものなのでしょうか?
PostgreSQLは、大量のデータを効率よく管理・操作するための「データベース管理システム」という分野のソフトウェアです。
長い歴史があるオープンソースソフトウェアで、個人用途から企業の基幹システムまで、幅広い分野で利用実績があります。
データベースという言葉は有名ですが、実際どういったものなのでしょうか?
たとえば、物を売っている会社があったとします。
その会社を運営するために、日々売上や費用、人事といった大量のデータが動いていますよね。
それらのデータを体系付けて管理できるようにしたものがデータベースです。
また、その中のデータを一括管理するソフトウェアのことを、データベースマネジメントシステム(=DBMS)と呼びます。
PostgreSQLもこのDBMSのひとつですが、他にもOracle(オラクル)というものもあります。
Oracleは比較的有名なDBMSで、ここ10年くらいでは圧倒的シェアを誇っています。
OracleとPostgreSQLの違いは何ですか?
Oracleは「商業用ソフトウェア」であり、PostgreSQLは「オープンソースソフトウェア」だという点ですね。
商業用ソフトウェアとは、お金を払って使用するタイプのソフトウェアのことです。
もちろんソースコードも公開されていませんし、改造したり再配布することは許されていません。
それに対しオープンソースソフトウェアは商業用とは真逆のもので、ソースコードが公開され、自分で好きなように改造したり、他人に再配布できるソフトウェアです。
更にはお金を払わなくても自由に無料で使うことができ、どのような目的にも使用することができる新しいタイプのソフトウェアなのです。
無料で自由に使えるなんて、とても魅力的ですね。
そうですね。
ただし、お金がかかる製品ではないためサポートサービスがありません。
使用の際にはご自分で勉強していただくか、私達のようなサポートを提供する会社に相談していただくことになります。
その代わり、知識をつけて使いこなすことができればコストパフォーマンス的にとてもメリットがあります。
オープンソースソフトウェアが登場してきた背景には何があるのでしょうか?
DBMSは従来から使われ続けてきたのですが、近年問題視されてきたのが「価格の高さ」でした。
それには企業組織のあり方が変わったことに理由があります。
昔はメインフレームという大きなコンピューターを社内にどんと置き、そこにデータベースを置いて全てのデータを一括管理する、というやり方が主流でした。
しかし今は、企業内の人や物の管理方法が細かくなり複数のソフトウェアが必要になってきました。
すると、今まで1本で足りていたDBMSを10本、20本購入しなければならず、その分だけお金がかかってしまいます。
その問題を解決するのが、オープンソースソフトウェアなのですね。
はい。
お客さまによっては、重要度の低いデータをデータベースに預けているケースもあれば、給与データや個人情報のようなとても重要なデータを扱う場合もあります。
そんな時、商用データベースですと全て高額な料金がかかってしまいます。
しかし、無料で従来と同じ操作ができるオープンソースであれば大幅にコストダウンできるのです。
なるほど。では、オープンソースソフトウェアの中でPostgreSQLにはどんな特徴があるのでしょうか。
実は、PostgreSQLはオープンソースの中で一番使われているソフトウェアです。
その理由は、互換性の高さにあります。
OracleにしてもPostgreSQLにしても、操作するための命令は基本的には同じ書き方をするので、PostgreSQLで身につけた知識はそのほかのDBMSであっても活用できるのです。
よって、商業用であるOracleから、オープンソースであるPostgreSQLへ移行するのは比較的簡単。
学んだ知識が無駄にならないところが強みですね。
データベースの知識があるIT人材のニーズは非常に強いですものね。
今は、徐々にオープンソースへ移行していく過渡期です。
誰でも聞いたことがある、というところまでは至っていません。
「需要が供給を上回っている」状態です。
だからこそ、PostgreSQLを扱えたり、その資格を持っている人は市場価値が高いのです。
企業データだけでなく、インターネット上のデータベースの役割も非常に大きいですよね。
そうですね。
ショッピングサイトで商品情報を扱うのに使われている、とイメージされている方も多いとは思いますが、最近はそれだけではありません。
最近はWebサイト制作でも、イチから組み立てるばかりではなく、何らかのフレームワーク(※1)やCMS(※2)などの開発支援ツールを使うことが多くなりました。
その仕組みには、必ずデータベースが使われています。
もしDBMSの知識があれば、CMSの背後にあるデータベースも理解できるようになります。
つまり、土台のことを含めてWebサイトの設計をすることができるようになるのです。
データベースは特殊なことに使うものではなく、「ホームページを作る」ということにも関わってくる身近な存在なのですね。
インターネットとデータベースは切っても切り離せない関係です。
だからこそ、インターネット・アカデミーでWebサイトの制作を学んでいる方々には、その知識をより高めるためにデータベースを学んでほしいのです。
データベースというと、なんとなく地味、といったイメージをもたれている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、データベースの技術とは、会社が扱うデータをどう分類、整理し企業経営に役立てるのかを考えることですので、コンサルティングの能力も求められます。
いまや、Webサイトもデータベースも企業にとって必要不可欠な存在になりました。
つまりそれらの知識を身につければ、企業に求められる人材になるということです。
興味本位でかまいませんから、何かスキルを身につけたいと考えている方はインターネット・アカデミーのように専門で教えているスクール(※3)でPostgreSQLの知識を学ぶことをおすすめいたします。
(※1)Web アプリケーションフレームワーク。Webサイトの制作者の手間を省くための命令群。
(※2)コンテンツマネジメントシステム(Content Management System)の略。
Webサイトを構成するデータを管理し、配信など必要な処理を行うシステムの総称。
(※3)インターネット・アカデミーは、世界初のPostgreSQL CE認定校に選ばれています。