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2018.08.28
課題解決に役立つデザインシンキング 初級講座

課題解決に役立つデザインシンキング 初級講座

インターネット・アカデミーでは、7月13日(金)に『株式会社DONGURI』より早川将司 氏をお招きし、「課題解決に役立つデザインシンキング 初級講座」を開催しました。

講座の中では「デザインシンキングとは何か?」といった基礎知識についての座学を行った後に、実際に主婦の方をテストユーザーとしてお招きし、「料理する際の悩み」についてリサーチし、課題解決する商品のプロトタイプを考えるといったワークショップを行いました。

ここでは、デザインシンキング基礎知識についての講演の一部をご紹介します。

デザインシンキングとは?

デザインシンキングとは?

デザインシンキングに関する知識やツールはかなり体系化されており、本やインターネットなどでも多くの情報を調べることができます。そのため、デザインシンキングについてある程度の知識を持っている方も多いかもしれません。しかし、「知っていること」と「実践できること」はイコールではありません。今回の講座ではワークショップを中心に行いますが、実体験を通して「デザインシンキングとは何か」を自分なりに解釈して、使えるようにすることを目標としています。

それでは、そもそも「デザインシンキング」とは何でしょうか?

Wikipediaで調べると「デザイナーがデザインを行う過程で用いる特有の認知的活動を指す言葉である」と解説がされていますが、これだけだと少し抽象的な印象があります。この認知的活動をかみ砕くと、大枠は「考え方」に当たると思います。

よく「デザインシンキングは、デザインに必要な考え方を利用して、ビジネスにおける問題を解決する方法だ」と言われています。デザインというのは表層的な装飾のことではなく、設計のことを指しており、その考え方を利用して問題解決をしていきます。設計では、最終的な完成物(アウトプット)を想像して、そこから逆算して考えていきますが、これをビジネスの問題解決に応用しています。

なぜビジネスに取り入れられているのか

最近ではデザインシンキングがビジネスに取り入れられるようになってきましたが、それはなぜでしょうか。

ビジネスでは、お客様のニーズを満たす、つまり抱えている課題を解決することで対価をいただいています。この「課題を解決する方法」がまさにデザインシンキングなのです。まずは、課題解決における代表的なアプローチについて確認していきます。

プロダクトアウト

従来はビジネスの課題解決をする際にプロダクトアウトのアプローチが取られていました。

プロダクトアウトは「会社が作りたいモノ」「作れるモノ」を基準に製品やサービスを開発していきます。つまり、自社を起点として製品やサービスを作り、それをマーケットに投下して顧客に届けていきます。「作り手側が良いものを作りそれを売る」という考え方ですね。

マーケットイン

プロダクトアウトの後に出てきたのがマーケットインというアプローチです。

これはプロダクトアウトとは逆の考え方で、まずマーケットにどういうニーズがあるのかを調査し、それを踏まえて顧客が求めている製品を作り提供していきます。

デザインシンキング

しかし、マーケットインで調査する「市場のニーズ」と言うのは、膨大なユーザーから集めたデータの平均値であることがほとんどです。デザインシンキングでは、そうした統計データの平均値を見るのではなく、その先にいる顧客1人ひとりを個別に見ていき、「この人はどう思っているのか」という定性的な見方をしていきます。

マーケットという広い範囲ではなく、ターゲットユーザーとなる顧客の調査をしっかりと行い、まずは簡単なプロトタイプを作ってしまう。それについて顧客からフィードバックをもらい、改善を繰り返していくことで、顧客が求めている商品を作り出してマーケットに投下していきます。統計データでわかるふわっとしたニーズではなく、1人でも10人でも構わないので、具体的に顧客が欲しいと思える商品を作って売っていくので、多くの人が自分でも気づかなかったような欲求を満たす商品やサービスが作りやすくなるのです。

マーケットのニーズというのは顕在化されたものですが、顧客自身が自覚はしていない潜在的なニーズがユーザーインサイトです。わかりやすい事例としてiPhoneが挙げられます。iPhoneが出る前は、誰も「欲しい」と言わなかったし想像もつかなかった。しかし、実際に発売されると皆が「すごく良い」と買っていき、爆発的に普及していきました。

こういう潜在的なニーズへアプローチする手段がデザインシンキングが得意とするところなのです。

デザインシンキング実践のプロセス

ユーザー側に立つマインド

これまでお話してきたように、デザインシンキングとは認知的活動であり思考方法を指しますので、実践におけるルールのようなものはありません。しかし、強いて言うのであれば、どうやって考えていくのかというマインドが重要だと思います。

まずマインドとして重要なのは、ユーザー側に立つということです。そのためには、ユーザーのニーズをデータから分析して考えるのではなく、ユーザーと直接コミュニケーションを取って、その人が意識していないがにじみ出ているようなニーズをキャッチアップし、「こういう商品が欲しいのかな」という想像をしていくことが大切だと思います。

プロトタイプ

デザインシンキング実践のプロセス

ユーザーとのコミュニケーションから得た気づきを元にアイデアを出していきますが、ブレストでもよく言われるように「アイデアを否定しない」ということが大切です。一見すると荒唐無稽なように見えるアイデアでもストックをしていきます。デザインシンキング初心者の方の中には「アイデアや仮説は妄想と変わらないのでは」と思ってしまう方もいますが、それはプロトタイプを作る段階で特定していきますので、この段階ではアイデアをたくさん出していくことが必要です。

いくつかアイデアが出てきたら、それをプロトタイプとして形にしてユーザーテストをしていきます。顧客と話をしているその場でアイデアが浮かぶことも多く、そのアイデアをプロトタイプとして作ってみてフィードバックをもらいます。プロトタイプを作り改善を繰り返していくなかで顧客のニーズが変化していくこともありますので、それに合わせて素早くアイデアを修正していきます。

また、ユーザーテストの中で注意したいことがあります。プロトタイプについてのアンケートを取ると、「すごく良い」と高い評価が得られることがあります。しかし、「いくらなら買いますか」といったように掘り下げて聞くと「買いはしないですね」という答えが返ってくることがあります。表面的なフィードバックだけを見ると、ユーザーの本音を見誤ることがあるので気をつけましょう。

デザインシンキングの要点

デザインシンキングの要点

私たちがデザインシンキングに取り組む中で重視しているのは「課題定義」と「検証」です。

最終的なアウトプットの品質を高め、他社と差別化を図っていくためには本質的な課題を捉えられるかがポイントです。どの課題に目をつけるか、どれだけ深く考えられるかがによってアウトプットが大きく変わってきますので、デザインシンキングにおける最も重要な点と言っても過言ではないと思います。

そして、実際にユーザーに対してアイデアをぶつけて、フィードバックをもらい、改善をしていく「検証」が重要です。マーケットインのアプローチでは市場分析をするだけでも半年単位で時間がかかることがあります。デザインシンキングでは圧倒的なスピードでアイデアを形にできますが、それを支えているのが「検証」のスピードと精度です。

また、デザインシンキングでは課題定義や最終的なアウトプットにオリジナリティが出やすく、その点も大きな魅力であると言えます。

講演者

株式会社DONGURI
戦略コンサルタント / ファシリテーター
早川将司 氏

広告代理店を経て、DONGURIにジョイン。商品事業開発 / 組織開発において、デザインシンキングを用いたコンサルティングで課題解決を行う。特にワークショップにおけるコンテンツデザインを得意とし、CO-DESIGNの手法を取り入れる。

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