【かんたん解説】Microsoft 「Copilot」の新規機能は?「Copilot+ PC」と「AI PC」は何が違う?
- ツイート
-
- 2024/12/18
Microsoft社は10月1日(米国時間)、人工知能(AI)アシスタント「Copilot(コパイロット)」に多数の新機能を追加すると発表しました。この記事では、「Copilot」と「Copilot+PC」の新機能についてわかりやすく解説しています。
目次
Copilotとは
Microsoft Copilot(コパイロット)とは、Microsoft社が提供する生成AIサービスで、ユーザーの日常的なタスクを効率的にこなすためのサポートをすることができます。OpenAI社が開発した「GPT-4」とMicrosoftが従来提供していた検索エンジン「Bing」を組み合わせた生成AIサービス「Bing Chat/Bing Chat Enterprise」が、新たに「Microsoft Copilot」として、2023年12月から提供されるようになりました。
Copilotで生産性UP
2024年、Microsoft社とLinkedIn社が公開したレポートによると、60人の「Copilotユーザー」を対象に半年にわたり調査を行ったところ、以下のような結果が出たと報告されています。
- Copilotユーザーはメールを読む回数が11%減り、メールのやり取りにかかる時間が4%減少。
- Copilotユーザーは、Word、Excel、PowerPointを使った文書の編集量が10%増加。Copilotで他の業務が効率化され、より価値の高い文書作成業務に時間を多く使っていると考えられる。
- 現在ナレッジワーカー(知識労働者とも呼ばれる)の75%が仕事でAIを使用していて、「時間が節約できる」「より重要な仕事に集中できる」など、AIによる効果を回答。
Copilotは「検索を超えた検索」
Microsoft社は、Copilotを「検索を超えた検索」と称しています。 上記のような生産性向上は、Copilotが持つ4つの特徴によって実現されています。
- 検索結果を要約して表示
- チャット形式で検索
- 画像作成
- 創作作業
検索結果を要約して表示
Copilot では、検索結果が 1 つの内容にまとまって表示されます。従来の検索エンジンによる結果と異なり、リンクをたどらなくても、要約された文章を読むだけで内容を理解でき、真偽の確認も可能です。また元のソースを表示し、より深い内容をご自身で確認することもできます。
チャット形式で検索
従来は検索する際、明確なキーワードがないと正当な検索結果が表示されないことが多くありました。Copilot では、キーワードが不明確な場合でも、対話形式で簡単に検索することができます。
画像作成
表現したい内容をCopilot に話しかけるだけで、画像が生成されます。イメージにより近づけたい時は、連続して話しかけることで、ユーザーの意図と前の画像の文脈を理解しながら新しい画像を生成し、よりユーザーの望む完成物に近いものを提案します。
創作作業
メールのテンプレートやドラフトなど、自分用にカスタマイズされた文章を瞬時に作ることができます。「メールのドラフト」「挨拶文」「どうやって書く?」などと検索する必要はありません。
Copilotの主要機能4つ
1.音声で自然な会話ができる「Copilot Voice」
「Copilot Voice」はCopilotと音声で自然な会話ができる機能です。
音声は4種類から選ぶことができます。現段階では英語のみに対応しており、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス、アメリカから提供されます。今後、他の言語にも対応し、提供地域も拡大する予定とされています。
こちらの動画では、ユーザーの女性が友人のホームパーティーに持っていくギフトをCopoliotに相談する様子が見られます。人間同士で会話しているかのような、スピード感のあるスムーズな会話になっています。
2.信頼できる情報を届けてくれる「Copilot Daily」
「Copilot Daily」は、ニュースや天気の概要を読み上げる機能で、予定のリマインダーなども設定できます。情報は、大手のニュースメディアなど信頼性の高いソースのみから取得されます。
現代社会を生きる我々が陥りがちな、情報過多という感覚を解消する効果が期待される機能で、すっきりとシンプルに、理解しやすいよう情報を伝えてくれます。
パーソナライズされたトピックを届ける「Personalized Discover」
「Personalized Discover」はユーザーが自ら検索しなくても、複数のトピックを提案してくれるサービスです。ユーザーが許可をした場合のみ、Microsoftの各サービスの利用履歴やCopilotとの会話履歴に応じてさらにパーソナライズされていきます。
こちらの動画では、ユーザーがPersonalized Discoverを実際に使って興味深いトピックを開くシーンを見ることができます。
4.開発中の新機能を利用できる「Copilot Labs」
「Copilot Labs」は現在テスト期間とされていますが、「Copilot Vision」と「Think Deeper」の2つが最初に提供される予定です。
Copilot Vision
「Copilot Vision」は、MicrosoftのWebブラウザ「Edge」に新しく組み込まれた機能です。
ユーザーが閲覧中のWebページや画像の内容をAIが読み込み、私たちがその内容についての質問をすると答えてくれます。
例えば、商品レビューを読んでいる時、「この商品は他の製品とどう違うの?」と質問すると、AIがページの情報をもとにわかりやすく説明してくれます。
「Copilot Vision」は※オプトイン方式で、内容が保存されたりトレーニングに利用されたりすることはなく、毎回セッションが終了されるとデータは削除されます。
※ユーザーの承諾を事前に得た情報のみを第三者に提供する方法。
こちらの動画では、AIがユーザーが見ている画像を認識し、ユーザーと会話している様子が見られます。
その他にも「Copilot Vision」には以下のような機能があります。
- 記事の要約
- ハイライト
- ユーザーの次のアクションを提案
- 画像・動画の解析
- 関連情報の提供
「Copilot Vision」は、米国の一部のCopilot Pro加入者から利用できるようになります。
Think Deeper
「Think Deeper」は、Copilotがより深いレベルで質問に回答できるように設計された新機能です。複雑な質問に対して詳細な情報を提供し、オプションを比較したり分析したりする際に便利です。段階を踏んで回答するため、少々時間がかかりますが、難しい質問にも回答できます。
この機能はまず、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス、アメリカのCopilot Pro(有料サービス)加入者に提供され、段階的に他の地域への提供が開始される予定です。
Copilot+ PCでは具体的になにができるの?
Copilotに加えて、Windows 11に今後追加される主な新機能も発表されました。
「AI PC」と「Copilot+PC」のちがい
Windows PCでは「AI PC」という呼称が使われていますが、これとCopilot+ PCはイコールではありません。
「AI PC」は画像認識や音声ノイズ除去といった、比較的低い性能のPCでもオンデバイスで実装できるAI処理を中心としたものであり、本格的な生成AIなどはクラウドで処理されていました。
一方、「Copilot+ PC」は、NPUの性能を重視した新しいPCカテゴリであり、従来の「AI PC」とは異なる基準を持っています。
AI PC |
|
---|---|
Copilot+PC |
|
※NPUとは・・・
NPU(Neural Processing Unit)は、AI関連の処理、特に推論(Inference)に特化したプロセッサーで、小型で低消費電力、特にモバイルデバイスやエッジコンピューティングに適しています。
「Copilot+ PC」ではWindows上のAI機能ブランドである「Copilot」の名称が使われていますが、クラウド処理が中心だった従来のCopilot機能とは趣が異なります。
Copilot+ PCの新機能
「Copilot+ PC」では、複数の新しい機能が追加されています。今回は、「リコール」と「コクリエイター」の2つの機能をご紹介します。
ファイルをインデックス化できる「リコール」
閉じてしまったタブ、アプリケーション、プロジェクトが後から必要になり、見つからずに困った経験のある人は多いのではないでしょうか。「リコール」は、「この間のあれ、どこにやったっけ?」という質問を投げて、対応する情報やファイルを見つけてくれる機能です。
「Copilot+ PC」では、ユーザーが作業している裏で撮影した画面のスクリーンショットから、NPUが画面に映っている内容のインデックスを作成し、作業内容や映っている情報にアクセスできる履歴を作成します。ユーザーは、テキストとして探したい情報を入力するだけで、探していた情報が見つかります。「Aに関する文書」のようなカッチリした内容である必要はなく、「赤い自動車」のような断片的でざっくりとした情報でも有効です。
また、AIは画像から内容を把握するため、情報が厳密に文字で提示される必要はありません。文章での検索だけでなく、日時を遡る形でも情報を探すことができます。
「日付を遡る形でファイルの使用履歴が出てくる」という機能は、過去にWindowsが「タイムライン」という名称で既に実装していたものの、使いにくさが指摘され、現在は実装が停止されています。「リコール」は「タイムライン」を改良したものと捉えることもできますが、別ものです。
スクショを勝手に取られ続けているって、なんだか怖いな...。
MicrosoftはAIちゃんのような不安を抱くユーザー向けに機能を用意しているので、以下で説明しましょう。
インデックスが記憶しておける期間はデータ量で決まり(目安:25GBで3か月ほど)、OS側の設定を変えれば自分で調整することができます。また、Microsoftはスナップショットのパーソナライズ、指定した情報の削除、追跡の一時停止、保存されたくないウェブサイトやアプリケーションのフィルタリングといった機能を用意しています。インデックス化は自由に停止したり、消すこともでき、クラウドにインデックスのデータがアップロードされることもありません。もちろん、データがMicrosoftのAI学習に使用される心配もありません。
ラフスケッチから画像生成ができる「コクリエイター」
「コクリエイター」は、Windows標準アプリである「ペイント」に搭載される生成AI機能です。
「コクリエイター」の最大の特徴は、プロンプトとして手書きのラフスケッチを利用できる点にあります。通常、画像生成AIでは、テキストプロンプトを利用して画像を生成しますが、「コクリエイター」ではプロンプト+画像(ラフスケッチ)という2つの入力を組み合わせることができます。
このほか、「水彩画風」などスタイルを選択して画像を生成することもできます。
またユーザーからは、「プロンプトの繁栄がスピーディで、制限なく何度でも生成できる点が、試行錯誤しながらの画像生成に適している」といった声も聞かれています。
「コクリエイター」を使う際の注意点として、PCがオンラインで、かつMicrosoftアカウントにサインインしていないと利用できないことが挙げられます。Microsoft Desighnerと同様にユーザーのリクエストが有害でないかを検証しており、生成物の著作権などについても注意を払う必要があります。
おわりに
今回は、「Copilot」の新機能、ならびに「Copilot+PC」について解説しました。今回の大幅アップデートにより、AIを用いたより効率的な作業ができるようになるのではないでしょうか?
最新のAI機能を使いこなすには、理解する必要があります。インターネット・アカデミーの「生成AIコース」では、AI技術とは何か、生成AIをビジネス活用する上で必要な知識を体系的に網羅しています。生成AIに代表されるChatGPTや画像・動画生成の活用法はもちろん、ビジネスに活用するうえでの失敗事例やリスクから対処法までを学ぶことができます。興味のある方は、お気軽に無料カウンセリングにご参加ください。
MicrosoftがAI機能を大量に発表したってニュースになっていたよね!コパイロットはどんな特徴があるAIなのかな?