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今更聞けない「インダストリー4.0」とは 前編~スマートファクトリー~

  • 2016/04/12
今更聞けない「インダストリー4.0」とは 前編~スマートファクトリー~

IoT(モノのインターネット化)とともに、日本の製造業関係者の間でいま、熱い注目を浴びている「インダストリー4.0」。 将来的には製造業に限らず、日本の産業全体に広く浸透するのではないかとも言われています。

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目次

インダストリー4.0とは

インダストリー4.0とは、ドイツ政府が主導し、官民連携で進めている、第四次産業革命を起こすという国家プロジェクトです。

そのコンセプトは「スマートファクトリー(考える工場)」。

工場の設備をインターネットでつなげることで、工場内の情報や、工場と工場の間の情報をつなげ、製造工程全体を効率化し、革新をもたらそうというものです。

スマートファクトリーになると製造業はどう変わる?

データの連携

設計や部品の調達、生産、物流に至るまで、全てのデータが連携します。これに加え、部品メーカーや顧客との間の情報も連携します。

ヴァーチャルな製品設計

何度も試作品を作るのはコストと手間がかかります。 スマートファクトリーではコンピュータ上の設計で試作品をヴァーチャルに作り、試作品製作にかかるコストと手間を削減します。

ダイナミックセル生産

これまで製造業では、「ライン生産」で水平的に連携するか、「セル生産」で垂直に連携するかという2パターンが一般的でした。
ライン生産は製造工程を分業しているので大量生産に向き、セル生産は一人ないし少数のチームが最初から最後まで組み立てるので少数生産に向いていました。

これに対し、スマートファクトリーではダイナミックセル生産が可能になります。これはライン生産とセル生産の折衷型で、ラインをいくつかの工程に分け、それぞれの工程のなかでダイナミックに変更できるようにしています。

このような工程を組み合わせることで、少量・多品種の製品を大規模に生産することが可能になります。これをマスカスタマイゼーションといいます。

発注・物流システムの自動化

生産工程のニーズに合わせ、生産に必要な部品を自動的に調達・運搬します。

生産工程が自己学習

情報連携とネットワークの整備、AI(人工知能)の活用により、生産プロセス全体を自動的に最適化・効率化します。

日本の工場のIoTとインダストリー4.0はどう違うのか?

日本の企業では、既にインダストリー4.0のような取り組みをしているケースも少なくありません。 むしろ、インダストリー4.0の考え方の基本である「インターネットで工場をつなぐ」ことが世界で最も進んでいるのは日本であるという意見もあります。
ならば、日本の工場のIoTとインダストリー4.0はどう違うのでしょうか?

従来、日本における製造プロセスに関する情報は、非常に秘匿性が高いものでした。 広がりを見せる場合も、「系列」という、深い関係を構築した一部の企業同士で情報を開示し合う場合がほとんどでした。

これに対し、ドイツのインダストリー4.0に参加している企業は、基幹技術や顧客の機密情報などに触れない限り、基本的に全ての情報を企業や研究機関などに公開しています。 スマートファクトリー推進の目的や実際に起きたトラブルなど、持てる情報を全て開示することが、結果としては自社のメリットになるとの考えがあるからです。

そう考える理由は2つあります。
まず、顧客や仕入れ先にオープンに情報開示することにより、要望にいち早く対応し、他社との違いを出すことができるなどのメリットがあるからです。

2つ目としては、より遠視眼的な理由があります。
情報開示により、多くの企業にインダストリー4.0が広がれば、技術が洗練され、価格も安くなります。そうなれば、全体としてはドイツの産業の底上げに繋がるとの視野があるのです。

まとめ

IoTが世界的な潮流となる中で、日本政府も産業のIoT化に積極的な支援に乗り出しています。 ドイツのように、日本の製造業全体が企業の枠を越えてオープンに情報を共有し、製造業全体の底上げを達成できるかどうかは、明確なヴィジョンを共有できるかどうかにかかっているといえるでしょう。
ますます、IT技術がすべての産業・ビジネスで必要な知識として求められるようになることが予想されます。ITスキルの必要性を感じている方は、早めに習得することが、ビジネスの成功の鍵につながるでしょう。

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