デザイン思考(Design Thinking)とは?ビジネスにもたらす効果を解説
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- 2023/10/28
国内の人口構造や消費傾向の変化、経済のグローバル化やテクノロジーの進化など、私たちを取り巻く環境は刻々と変化しています。その中で企業には、より良いサービスの提供や競争力を高めることが求められるようになりました。このような課題へのアプローチ法として、最近「デザイン思考(Design Thinking)」が注目されています。
今回は、デザイン思考の概要とビジネスにもたらす効果についてご案内します。
デザイン思考は、より顧客ニーズへの共感を重視し、問題解決をデザインで試みる手法です。以下で、詳しく解説していきます。
目次
デザイン思考とは?
まず、デザイン思考とはどのような課題解決法かを見ていきましょう。
デザイン思考とは?
ここでいう「デザイン」とは、配色やレイアウトなど「装飾」ではなく「設計」を意味します。デザイン思考とは、発生した問題や課題に対し、デザイン的な考え方と手法で解決策を見出す考え方を指します。
その特徴として、さまざまな種類の職種やビジネス、そして職種に通用することがいえます。また、プロジェクトに関わるすべての社員・スタッフがそのプロセスに参加できるなど、一部の役職だけにとどまらないところもデザイン思考の持つ特徴です。
なぜデザイン思考が求められる?
デザイン思考について詳しく紹介する前に、なぜデザイン思考が求められるようになったのか背景を知っておきましょう。
デザイン思考が求められるようになった理由として、サービスの多様化やニーズの変化が急加速したことで、それまで主流だった仮説検証型のアプローチでは解決策の用意が間に合わなくなってしまったことが挙げられます。
時代の急激な変化についていくために、より多くのアイデアから解決策を導き出そうと考案された手法、それがデザイン思考なのです。
デザイン思考の5段階(プロセス)
デザイン思考には5つの段階(プロセス)が存在します。
1.観察・共感(Empathize)
この段階では、ユーザーが何を求め、考えているかといったニーズを探ります。
実際にサービスを利用したユーザーがどのように感じ、思うのかを把握することが目的です。
2.定義(Define)
ユーザーが抱く疑問や問題点を調べたことをまとめます。その内容をベースにしてユーザーの真のニーズを洗い出し、問題がどこにあるのかを明確に定義づけします。
3.概念化(Ideate)
定義された問題点に対し、具体的にどのようにアプローチすべきかを考えます。
スタッフやメンバーを集め、枠にとらわれることなく、自由に意見を交換しましょう。より多くのアイデアを出し合い、方策を練ります。仮説を具体化することがポイントです。
4.試作(Prototype)
3で方策がおおよそ固まったら次は試作です。試作品を作成することで、さらにアイデアを具体化でき、イメージしやすくなります。試作品を通してサービスの機能性や効果、そして実現性について検討しましょう。
試作品ができるとアイデアの再現が容易になり、解決策の提案での説得力を補強することができます。
5.テスト(Test)
社内での検討を経て、いよいよユーザーにアイデア使用感を問います。それまでの方針が正しかったか否かを見極めるだけでなく、今後の課題を決める重要な段階です。
テストと改善を繰り返し、最終的な解決策(ゴール)を目指します。
デザイン思考がビジネスにもたらす効果
デザイン思考はプロジェクトやチームに所属する全員により行われます。「Design Thinking」ではアイデアの重要度に眼目が置かれ、そこに役職による分け隔てはありません。あらゆる発言が平等に扱われるのです。
最後にデザイン思考によって得られる効果の一部をご紹介します。
1.新たなアイデアの醸成
デザイン思考では、5つの段階「観察・共感」「定義」「概念化」「試作」「テスト」により、得られた結果をチーム全体でレビューします。仮説の検証を経て、さらにPDCAサイクルを繰り返すことで、新たな気付きやアイデア・発想が生まれます。
この習慣が根付くことで、新たなアイデアが醸成されやすい環境を整えられることでしょう。
2.組織の強化
プロジェクトやチームに所属するメンバーが自由に意見を交換することで、共通の認識や方向性を持つことができ、さらにメンバー間の信頼構築につながります。
プロジェクトにおいて特に重要なメンバー間の結びつきが強くなると、組織の強化にもつながり、おのずと生成物の品質向上にもつながるのです。
3.顧客中心のアプローチ
デザイン思考は、そのプロセスの中で、顧客の視点や体験に焦点を当て新たな解決策やイノベーションを生み出すため、顧客のニーズへの理解や共感を重視します。顧客満足度の向上だけでなく、社の競争力を強化するためにも効果的であり、顧客中心のアプローチを取り入れることで、ビジネスの成果を飛躍的に高めることができるでしょう。
デザイン思考のフレームワーク
デザイン思考には、生産性を高めるために、相性の良いフレームワークがあります。今回は、代表的な3つのフレームワークをご紹介します。
共感マップ
共感マップとは、以下6つの視点に基づいて、ユーザーの思考や価値観を把握するためのフレームワークです。ユーザーの本質をより理解しやすくなり、デザイン思考と相性が良いとされています。
- 見ているもの
- 聞いていること
- 考え、感じていること
- 発言や行動
- 痛みやストレス
- 望んでいること
ビジネスモデルキャンパス
ビジネスモデルキャンパスとは、以下の9つの視点でポイントを整理し、ビジネスモデルを分析していくフレームワークです。このフレームワークは、ビジネスにおいて新たなヒントを生み出すために役立ちます。
- 顧客セグメント
- 顧客との関係
- チャネル
- 提供価値
- キーアクティビティ
- キーリソース
- キーパートナー
- コスト構造
- 収益の流れ
SWOT分析・事業環境マップ
SWOT分析と事業環境マップでは、それぞれのカテゴライズを使い、ビジネスモデルを深掘りしていくフレームワークです。ビジネスモデルを精査することで、精度の高いアウトプットを出すことが期待できます。
【SWOT分析】
- 優位点(Strength)
- 課題(Weakness)
- 機会(Opportunity)
- 外的脅威(Threat)
【事業環境マップ】
- 市場
- 業界
- トレンド
- マクロ経済
おわりに
デザイン思考は、サービスや商品が持つ問題点を洗い出し、その解決策を練る上で大きな効果を発揮します。また、プロジェクトやチーム全体のメンバーが集まり議論を交わすことで、新たな発見やアイデアが得られるだけでなく、互いに共通の認識を持つなどの信頼にもつながります。今後ますますデザイン思考がビジネスの場に求められることが考えられます。
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