Z世代に人気のトレンド、Y2Kデザインとは？

Y2Kとは？

「Y2K」とは西暦2000年という意味の「Year 2 Kilo」を略した言葉です。つまり、Y2Kデザインとはこの2000年前後に流行したデザインのことを指しています。例えば、2022年から流行しているデザインは、2000年当時に流行していたデザインを今風にバージョンアップさせたものということです。

Y2Kデザインの特徴

Y2Kデザインの特徴としては、以下のものが挙げられます。

• 鮮やかな色彩
• 派手な模様
• ポップ感
• メタリック感
• クールな印象
• 未来的、カリスマ的なイメージ
• ツルツルでピカピカの表面性
• 合成テクスチャ要素（ぼんやりした幾何学、半透明のプラスチック、光沢のある素材など）

このような特徴からも分かるとおり、Y2Kは、ポストモダンの装飾性や表面性が新たな表現技法として前面に押し出されたデザインなのです。

なぜ2000年代にY2Kが確立されたの？

なぜこのようなデザインができあがったのか、その理由は様々ありますが、根本には、当時の人々が漠然と抱えていた未来への不安と、そこからの逃避、あるいは払拭するための楽観主義的な雰囲気があると考えられています。

20世紀と21世紀の節目を迎えるにつれ、ノストラダムスの予言や、「2000年問題」などの影響で世界の崩壊がまことしやかに囁かれていました。 ノストラダムスは16世紀に生きたフランスの医師、占星術師、詩人です。彼の予言は「1999年、7の月、空から恐怖の大王が降ってくるだろう」というものです。当時は1999年7月に世界が滅亡するのではないかと噂されていました。
2000年問題とは、当時の多数のコンピューターシステムの日付が西暦の下2桁で計算されていたため、コンピューターが「2000年」を「1900年」として誤って認識し、一斉に誤作動を起こすのではないかと懸念されていた問題です。

実際には大きな問題は発生せず、世界も崩壊しませんでしたが、当時はこのような情勢が世界的な不安をあおっていました。そしてそのような不安から逃げるように、今度は不安とは反対の楽観主義的な風潮が生み出されました。それがY2Kです。
このY2Kを形作った代表的なものには、初代iMacと映画『マトリックス』が挙げられます。

初代iMac、「iMac G3」は、半透明で、ポップな色とフォルムが特徴です。このiMacの登場で半透明のキャンディーカラーの素材が人気を博し、似た素材のスケルトンデザインの製品が市場に多く出回るようになりました。
映画『マトリックス』は、1999年に公開されたSF映画で、仮想現実空間を舞台に人類とコンピューターが戦うという内容です。この未来的なディストピアをテーマに扱った映画は、当時の人々に衝撃を与えました。
これらの先進的なモノたちが、技術の進歩や明るい未来への展望、さらには自由な個性の表現といった風潮を形成しました。

なぜ今Y2Kが再流行しているのか？

では、なぜ2020年代にY2Kデザインが再流行しているのでしょうか。それは、コロナ禍によって世界がオンラインベースへと変容したからだと考えられています。
モダンデザインの中では、無駄をそぎ落として暮らす効率主義が主流となっていました。しかし、人とのつながりが希薄になり先行きに不安のある今日では、ポップで明るい雰囲気を持つY2Kデザインが求められたのだと思われます。また、Y2Kデザインの「個性を大事にする」「自分らしく」というマインドは多様性にもマッチしており、それがZ世代に人気を博した理由だと考えられます。

おわりに

この記事では、再流行しているY2Kデザインについてご紹介しました。Y2Kが20年たった現在でも流行しているように、デザインは日々変化しています。そしてデザイナーは流行に取り残されないよう、常にデザインをアップデートしなければなりません。
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