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改正民法の施行目前!民法改正のシステム開発への影響とその対策とは?

  • 2019/04/12
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私たち市民の法律関係を定める民法が120年ぶりに大改訂され、2020年から施行されます。明治29年から存在する現行民法は、時代とともに私たちの生活の実情とは合わないところが少しずつ出てきたからです。
今回の民法改正で契約に関する法律が大きく変わり、私たちの生活や社会に大きな影響を与えることが予想されます。私人間の契約だけでなくシステム開発の分野をはじめとしたITビジネスへの影響も見逃せません。
民法改正の概要からこうした影響までご紹介いたします。

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目次

民法改正で何が変わる?

今回改正される民法は現行のものと何が変わっているのかをまずはご紹介します。

「平成の大改正」民法改正の概要

「平成の大改正」民法改正の概要

そもそも民法とは、簡単に言えば私人(市民)間の法律関係を規定する法律です。民法は「総則」、「物権」、「債権」、「親族」、「相続」の五編で構成され、1044条もの条文からなる個人の権利・義務の体系です。その中でも今回改正されるのは「第一編総則」と「第三編債権」の二つです。「総則」は民法典全体に共通する規定を、「債権」は私人間の金や物などの取引に関する規定を定めています。特に「債権」に関する法律が大幅に改正されたことから、「平成の大改正」と呼ばれる今回の民法改正は「債権法改正」とも呼ばれています。

民法(債権関係)の見直し~「民法の一部を改正する法律」の概要 法務省
民法の一部を改正する法律 法務省
民法(債権法)改正 法務省

「瑕疵」が廃止され「契約不適合」に

「瑕疵」が廃止され「契約不適合」に

改正民法では現行民法に含まれる「瑕疵担保責任」という表現が廃止され、「契約不適合責任」と表現されることになりました。
「瑕疵」とは「通常備わっているべき性質や性能が備わっていないこと」を意味します。すなわち「瑕疵担保責任」とは、売買されたものに買い主が知らなかった欠陥や不具合(隠れた瑕疵)があった場合に売り主が負う責任のことです。

現行民法ではどの程度までが「瑕疵」に含まれるのかが曖昧であるだけでなく、買い主があらかじめ黙認していた「瑕疵」については後から売り主の「瑕疵担保責任」を追及できないという点がしばしば議論の対象となってきました。

一方改正民法では、「瑕疵」という概念がなくなり、契約に適合しない(契約不適合)ものを売り渡した売り主は責任を取るという考え方を取っています。 この際売り主が負うのが「契約不適合責任」であり、買い主に過失がある場合にも追及できるようになっています。逆に売り主に過失がない場合には責任は追及されません。

また、改正民法では責任追及の方法として、現行の「契約の解除」、「損害賠償請求」に加えて「履行の追完請求」、「代金減額請求」が可能になりました。 履行の追完請求とは契約に適合するように不履行の部分を補うよう請求することです。契約の解除については、現行では契約の目的を達成できない場合を除いては解除することはできませんが、今後は債務が履行されなかった時点で解除できるようになります。

企業が契約不適合の商品・サービスを提供した場合

「短期消滅時効」の廃止

「短期消滅時効」の廃止

通常の債権の消滅時効である10年より短いものとして規定されていた「短期消滅時効」が改正民法では廃止され消滅時効がすべて統一されました。

現行民法では日常的に発生する金額の小さい債権については、3年以下の「短期消滅時効」が特別に設けられています。医療費、専門家への依頼費、宿泊費などに関する法律関係について早めに決着をつけ、長期化を防ぐためです。 しかしこれらの規定も時代が進むにつれて合理性を欠くようになり、現代社会にそぐわないものとなったため今回の大改正で廃止されることになりました。

改正民法では債権の消滅する時効について、「債権者が権利を行使することができることを"知った時"から5年間、権利を行使できるときから10年間行使しないとき」と規定されています。 ただしほとんどの場合債権者は自分の権利を認識しているので、後半部分は例外的な内容といえます。つまり改正民法施行後に締結された契約については、債権の種類に関わらず消滅時効は基本的に5年ということになりました。

「公正証書」によって保証人を保護

「公正証書」によって保証人を保護

改正民法には保証人を保護するための規定が盛り込まれています。
債務保証が民法で定められているため、保証人は債務者が債務を履行できない場合には債務者の代わりにその債務を履行する必要があります。 この債務保証の制度があるため、軽い気持ちで保証人になった人が多額の履行を求められるという問題が多々発生してきました。 この問題を未然に防いだり負担を軽減したりするために改正民法に新たな規定が追加されました。

まず、債務者が保証人と保証契約を結ぶ際に、場合によっては公正証書によって保証人の債務履行意思を確認しなければいけなくなりました。 この公正証書の作成には保証人本人の立ち合いはもちろん、面倒な手続きが必要になります。そのため個人が軽い気持ちで保証人になるケースがかなり減少すると見込まれます。

また、今回の民法改正から保証人の権利拡大の一環として、債務者と債権者に情報提供義務が課されていることにも注目すべきです。 保証契約を結ぶ際には債務者は自らの財産や債務の金額、履行状況などの情報を保証人に公開しなくてはいけません。債権者にも債務者の履行状況などについて情報を求められれば公開しなくてはいけません。
このように保証人は自分が保証人になっている債務がしっかりと履行されるかどうかを常に確認することができるのです。

「定型約款」のルール制定

「定型約款」のルール制定

現行民法では約款(条約や契約に定められた個々の条項)についての明確な決まりがなく、それ故に約款の内容をめぐってトラブルが多々発生してきました。 改正民法では特定の契約の下では「定型約款」を使用し、一度合意した契約者はすべての条項に合意したものとみなす(これを"みなし合意"という)ということが決められました。 これによって「定型約款」で契約を結んだ者同士のトラブルを減らすことが狙いです。

ただし「定型約款」を結ぶことができるのは「相手が不特定多数である場合」や「画一的な取引であるほうが合理的である場合」に限定されています。 また契約内容において著しく一方に不利な内容などについては「みなし合意」は成立しません。

いずれにしても今後「定型約款」を利用すれば、「膨大すぎて全部は読まなかったが約款のこの部分は合意できない」といったことが議論の的になることはなくなるので、契約上のトラブルが少なからず減少することが期待されます。

「法定利率」の引き下げ

「法定利率」の引き下げ

お金を貸し借りした際に借り主は貸し主に利子をつけて返済しますが、借りた金額に対する利子の割合を金利といいます。 契約時に当事者間で定められる金利を「約定利率」というのに対し、それが定められなかった場合には「法定利率」という金利が適用されます。 現行民法では5%だった「法定利率」が今回の改正では3%まで下がりました。それによって損害賠償額の計算の際に法定利率を用いる損害保険への大きな影響が見込まれています。 一般的に傷害や事故によって相手に後遺症が残った場合などは、その後遺症がなかったらその先得ていたはずの利益(これを"逸失利益"といいます)をまとめて賠償します。 法定利率が下がったことによって被害者の逸失利益から割り引く金利が減るので、結果として保険会社が支払わなければいけない損害賠償の額が大きくなってしまうのです。 今後保険会社が保険料を上げるなどの対応をとるかどうか、動向が見逃せません。

IT業界への影響は?ベンダー(システム開発会社)は不利に?

IT業界への影響は?ベンダー(システム開発会社)は不利に?

今回の民法改正は主にシステム開発部門などのIT業界に大きな影響を与え、ベンダー(システム開発会社)は今後対応を迫られるといわれています。
IT業界への主な影響としては下記の4点が挙げられます。

  • 「瑕疵担保責任」の廃止と「契約不適合責任」
  • 責任追及期間の長期化
  • 「代金減額請求」と「契約解除」
  • 未完成でも報酬を請求できる

上記のうち、最初の3つがベンダーにとっては不利な内容、最後の1つがベンダーにとって有利な内容と言われています。

民法の改正による変更点

ベンダーに不利な改正内容①「契約不適合責任」

契約には納品物と納期が指定されている「請負契約」と、特定の行為を委託されるが仕事の完成までは求められていない「準委任契約」の二種類があります。

今回の改正では、「請負契約」において、「瑕疵担保責任」の規定が廃止され、「契約不適合責任」となったことがもたらす影響は大きいでしょう。 「納品物がその性質や数量などの点で契約に適合しない」と判断されれば「契約不適合」となってしまうからです。 これまで以上に契約の段階でいかにクライアントの目的や契約までのプロセスを、漏らさずに契約内容に盛り込めるかが重要になってくるでしょう。

ベンダーに不利な改正内容②「責任追及期間の長期化」

さらに請負契約においては、民法改正後に責任追及期間が長期化することにも注目するべきです。
現行法では責任追及期間が「引き渡し時から1年間」であるのに対し、改正後は「クライアントが契約不適合を知ったときから1年間」になっています。 そのためたとえ契約・引き渡しから1年が過ぎていても、「知ったとき」から1年間は責任を追及される恐れがあるのです。これはベンダー(システム開発会社)にとっては不利な規定といえます。
このままではあまりに不公平だということで改正民法では責任追及期間は「最大で引き渡しから5年間」までという制限付きの規定が設けられています。

ベンダーに不利な改正内容③「代金減額請求」「契約解除」

その他ベンダー(システム開発会社側)に不利といえる規定としては、ベンダーへの責任追及として債務不履行と認められれば簡単に契約を解除したり、代金を減額請求したりできるようになったことが挙げられます。
これらの規定はクライアントの権利を拡大するものということができ、特に発言権の弱い中小企業にとっては悩ましいものとなるかもしれません。

ベンダーに有利な改正内容 未完成でも報酬を請求できる

一方ベンダーにとって有利な点としては、請負契約において納品物が完成しなくてもベンダーが報酬を得られるようになったことが挙げられます。 請負契約とは本来納品物が100%完成することが前提とされていましたが、 改正後は未完成であってもクライアントにとって価値のあるものであればその度合いに応じて報酬を請求することが可能になりました。

民法(債権関係)の見直し~「民法の一部を改正する法律」の概要 法務省
民法の一部を改正する法律 法務省
民法(債権法)改正 法務省

2020年の施行に備えてIT研修で人材育成をしよう

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 民法改正によって契約に関する決まりが大きく変わったことで、契約締結の方法はもちろん、契約内容にしっかりと適合するシステムを開発する方法についても再検討しなければいけません。
社内においてはIT業界を取り巻く法制の最新情報を常に把握し契約内容を検討できる人材や、クライアントの要求するシステムの理想像を漏れなく契約内容に盛り込みそのシステムを実際に構築できる人材が必要です。

特に法律改正をはじめとする最新の情報を踏まえた人材教育の社外からの採用が難しい場合、社内でこうした人材を効率的に育成する方法としておすすめなのが専門教育機関によるIT研修がおすすめです。
こうした機関では、ITを専門とする講師陣やこれまでの卒業生の実績まで、ITに関する最新情報が揃っているからです。そのため、おり、新入社員やIT未経験の社員をゼロから効率的に教育することが可能ですできます。研修によって社内の人材を育成することがIT業界を取り巻く法律や規制に対応する近道です。

参考

各業界のIT技術を網羅し、将来を見据えた人材を育成 GDPR(一般データ保護規則)とは?GDPRに備えるためのIT研修をご紹介!

おわりに

近年における、個人情報や情報セキュリティの規制強化を踏まえて、人材育成のためのIT研修を専門のスクールに委託したいという企業担当者の方や、個人でITに関する知識を身に着けたいという方が増えています。
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