SIerの需要は今後どうなる?SI業界で生き残るには何が必要なのか
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- 2024/04/10
SIerとは、システムインテグレーターの略称で、情報システムの開発から運用・保守までを行う企業のことです。SIerは90年代に大規模なシステムの需要が高まったことから、90年代に政府の主導により生まれました。現在も、官公庁や金融機関のITに関する複数のプロジェクトを請け負っています。しかし近年、SIerの将来性について悲観的な声も聞かれるようになっています。
目次
Slerの需要は減少する?
2030年には「従来型IT人材」が10万人余る!?
IT業界は人材不足が叫ばれる一方で、経済産業省は「2030年には従来型IT人材が10万人余る」という試算を発表しています。人材不足とされているのは「先端IT人材」であり、受託開発・保守運用などに携わる従来型IT人材は、そこまで不足していないという実情があります。
DX推進にはSlerが必要不可欠
一方で、DXの推進が急ピッチで進められる中、Slerの存在は必要不可欠であることも事実です。
経済産業省が公表した「2025年の崖」にもあるように、旧来システムの老朽化は経済損失をもたらすリスクを持ち合わせています。
こうしたリスクを避けるためにも、今後数年で基幹システムや業務システムが新しいシステムへと移行していくことが予測されます。自社の既存システムやハードウェア・ソフトウェアなどを別のバージョンに移行させるプロジェクトは、多くの場合大規模になります。そのため、調整を行いながら豊富な人員を投入できるSlerの力が必要不可欠です。
ではなぜ、Slerの将来性が懸念されているのでしょうか?
Slerは将来性がないと言われる理由
発注コストの高さ
Slerは大手になればなるほど発注コストが高くなります。一定以上の規模を持ったプロジェクトでなければ採算が合わないケースがある、多大なコストを投じて作り上げたシステムが見合った効果を発揮してくれるとは限らない、などの懸念があるため、発注コストが高いと判断する企業も多いでしょう。
現代は小さく作って頻繁に試行しながら、状況に応じて組み替える「スモールスタート」や「マイクロサービス」がトレンドです。トレンドとSIerのビジネスモデルがマッチしていないことも、将来性を危惧される要因のひとつと言えます。
システムのクラウド化
SIerの将来性が懸念される大きな理由のひとつが、クラウドサービスの普及です。
かつて、システム構築は自社でゼロベースから行うことが一般的でした。それが今では、PaaS(パース:Platform as a Service)、SaaS(サース:Software as a Service)と呼ばれるサービスが登場し、システムをイチから開発しなくても、既存のサービスを利用できる環境が整ってきています。個々の企業のニーズに応じてシステムを開発してきたSIerの存在意義自体が問い直されても不思議ではありません。
PaaSとSaaSってどんなサービスなの?
PaaSとは、「Platform as a Service」の略で、ソフトウェアが稼働するための環境(ネットワーク・ハードウェア・OS)をインターネット経由で提供するサービスです。
SaaSとは、「Software as a Service」の略で、インターネット経由でソフトウェアを使用するサービスです。ユーザーは必要なソフトウェアのみの利用が可能です。
海外展開ができない
企業がSIerにシステム開発をまるごと外注して、運用から保守まで一括して依頼するビジネスモデルは日本特有のビジネススキームです。海外ではあまり見られないため、日本のSlerは海外進出がしにくいという面があります。
国内にもすでに海外から多くのIT企業が進出しています。海外のスキームが日本でも一般的になれば、Slerそのものがガラパゴス化してしまう可能性もあります。
結論、SIerはこれからもニーズがある
求人はまだまだ多い
dodaの「転職求人倍率レポート(2023年9月)」によれば、職種別の転職求人倍率で「エンジニア(IT・通信)」が10倍を超えました。これは求職者1人当たり、10件の求人がある計算になり、全職種で最も高い倍率となっています。
顧客と共にDXを共創するパートナーとしての役割
多くの企業でDXの導入が加速しています。DX需要の増加に伴い、CRM(顧客管理システム)やMA(マーケティング活動の自動化ツール)などのパッケージソフトの普及も進んでいます。このようなパッケージソフトのソリューションは、スクラッチ開発の独自システム開発事業から今後置き換わっていくと予測されます。既存の独自システムを導入したSIerが、スクラッチ開発のノウハウを活用してパッケージソフトの導入を担うなど、SIerの活躍が見込まれると言えるでしょう。
SIerの需要は特にITインフラや金融分野で見込まれる
特に金融業界、ITインフラの分野では安定してSIerの需要が見込まれます。
具体的には、システム運用やセキュリティ対策などでSIerの存在が必要とされています。SIerに投入される予算が縮小する可能性はありますが、需要は安定しているので職を失う心配はないでしょう。
エンジニアとしてのキャリアを考えると、スキルを身につけるためにSIerで修業を積む、スキルが身についたら別業界に転職するといった選択肢もあります。 SIerの中でも下請けだけでなく自社開発も行っている企業に在籍すれば、問題なくキャリアを積むことができます。
今後SI業界で活躍するには?
先端ITスキルを習得する
冒頭でも述べたように、エンジニアの人材不足が取り上げられることが多くありますが、エンジニアの中でも特に不足しているのは先端IT人材です。AI・機械学習関連スキルやIoT関連、自動化・仮想化対応スキルなどの専門的スキルを身に付けておくと、高い需要を見込めるでしょう。
マネジメント職に就く
マネジメントスキルを持った人材は需要が高い傾向にあります。LinkedInが公開した「日本で今、最も需要の高いスキル」(2023年公開)で、3位に「マネジメント」がランクインしています。交渉力やリーダーシップ能力などがあれば、ほかのSIerと差がつき業務の幅も広がります。
将来を考えるなら、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネジャーの経験を積むことも有用な選択肢であると言えるでしょう。
フリーランスとして独立する
自身の知識とスキルに自信がある方は、フリーランスのITエンジニアとして独立するという選択肢もあります。今はクラウドソーシングなど、フリーランスのITエンジニアが活躍できる環境が整っています。 独立SIerは親会社からの縛りなどがないため、幅広い業界と関わるチャンスがあります。各業界が求めているシステムを知り、より最適化されたシステムの提案が可能です。
また、成果主義が自分にはあっているという方にもおすすめです。
Web系など自社開発を行う企業への転職をする
Web系企業はSIerよりもトレンド寄りの技術を用いており、自社開発している企業も多いです。 SIerのシステム開発では、信頼性・安定性が重視されるため、どうしても旧来の技術が使われがちになりますが、Web系企業は、他との差別化や競合企業を上回るサービスの提供を図るために新しい技術を積極的に取り入れています。
Web系のスキルを身につけることで、将来的に独立しやすいというメリットもあります。
おわりに
経済のデジタルトランスフォーメーションが進む中で、SIer経験者は他業界からの注目を集めています。Slerとして今後も活躍できるか不安な方、転職してさらにステップアップしたい方は、この機会にぜひ最先端のAI・IoTに関連したスキルを習得してみてはいかがでしょうか。
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なぜSlerの将来性が危惧されているのでしょうか。この記事では、本当にSlerの需要が減少するのかなど、Slerの今後について解説していきます。