脱炭素社会の実現に向けてIoT:Internet of Things(モノのインターネット)でできることとは?
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- 2023/07/28
2020年以降、脱炭素化に向けた動きが加速し、製造業にも対応が強く求められるようになりました。世界の中で、カーボンニュートラルの達成を目指すことを表明した国は、日本を含め既に120を超えています。脱炭素化は、まさに世界共通の取り組みになりました。そして、消費電力をIoTで管理し、CO2の排出量に換算して、AIなど高度な情報処理システムによって最適化と自律制御を行うという動きが出てきました
今回は、脱炭素社会を実現するために重要とされているIoT:Internet of Things(モノのインターネット)についての説明や、IoTがどのように脱炭素社会の実現に貢献できるのかなどについてご説明します。ぜひ、ご一読ください。
目次
地球温暖化の現状
「地球温暖化」は全世界が力を合わせて取り組まなければならない重要な問題です。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書によると、陸海合わせた世界平均地上気温は、1880年から2012年の期間に0.85℃上昇しており、
脱炭素(カーボンニュートラル)社会の実現
地球温暖化の大きな原因の1つが「二酸化炭素(CO2)排出量の増加」です。産業革命以来、人類は石油などの化石燃料を大量に使用したため、大量のCO2が排出され、大気中のCO2濃度は産業革命前に比べて40%も増加しました。CO2は温室効果を有しているため、CO2濃度の増加に依存的に平均気温が上昇してしまうのです。
IPCCの報告書では、「気候変動になんとかうまく対処しようとするなら、二酸化炭素の排出量を2030年までに2010年比で45%削減する必要がある」と述べられています。CO2排出量を削減するためには、なるべく早く世界をカーボンニュートラル(※)な状態にもっていき、平均気温の上昇を抑制する必要があるのです。
つまり、脱炭素(カーボンニュートラル)社会を実現することが、地球温暖化を解決するための1つの解決策になるのです。
(※)ある一連の人為的活動において、排出されるCO2と吸収されるCO2の量が同じであるという概念のこと。
イノベーションの推進が必要に
日本政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルに向けてさまざまな施策を行っています。たとえば、2030年度の温室効果ガスの削減目標として、2013年度から46%削減と設定しています。
これらを実現することは簡単ではなく、技術分野でのイノベーションが重要であると考えられています。具体的な技術としては、水素・燃料電池、カーボンリサイクル、IoTなどが挙げられます。水素・燃料電池で走る自動車の普及や炭素資源を回収して再利用するカーボンリサイクルの技術を実現することができれば、大気中へのCO2排出量の削減が期待できます。また、IoT技術を活用し無駄なエネルギー消費を削減することも、脱炭素社会の実現につながります。このように、技術分野でのイノベーションを推進することが脱炭素社会を実現するためには必要なのです。
IoT:Internet of Things(モノのインターネット)が省エネの推進力となる
先述したように、脱炭素社会の実現に向けて技術分野でのイノベーションが重要です。ここでは、複数ある技術分野のうち、IoT技術によるイノベーションがどのように脱炭素社会の実現につながるのか詳しく説明していきます。
IoT:Internet of Things(モノのインターネット)とは
IoTとはInternet of Thingsの頭文字を取った単語で、一般的に「モノのインターネット」と呼ばれています。簡単に説明すると、「身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながる」仕組みを意味しています。IoTを活用すると携帯電話やパソコンがインターネットにつながるように、テレビやエアコン、自動車など様々なモノがインターネットにつながり、相互通信することで遠隔からも認識や制御が可能になります。
IoT:Internet of Things(モノのインターネット)でできること
IoTは様々な分野で活用されています。具体的にIoTを活用することでどのようなことができるのでしょうか。
モニタリング
IoT により、離れた場所にあるモノの環境(温度、湿度、気圧など)、モノの動き (衝撃、振動、移動など)、モノの位置 (存在場所など) などの情報を収集し、モニタリングすることができます。
予防・予知
IoTを活用したモニタリングにより収集したデータを処理・分析することで、離れた場所にあるモノの状態を把握し、故障や異常の予防を行うことができます。
データ連携・モバイル連携
IoTにより、スマートフォンなどのモバイル機器とあらゆるモノをインターネットを介してつなぎ、連携することが可能になります。
遠隔制御
IoT により、スマートフォンなどのモバイル機器を使用して連携したモノを遠隔制御することが可能になります。これにより、モノの保守作業などの効率化を図ることができます。
以上のように、IoTを活用することであらゆるモノをインターネットを介して連携することができるようになります。また、IoT化が進むとインターネットに接続されたあらゆるモノから膨大なデータを収集できるため、それらのデータをAI 資源として活用することもできます。「ビックデータの活用」、「AI技術の発展」という観点からもIoTの貢献する領域は非常に幅広いのです。
IoT:Internet of Things(モノのインターネット)技術の進歩が省エネを推進する
IoT技術を活用することで、あらゆるモノの消費電力のデータを収集でき、データを「見える化」することができます。得られたデータを分析することで無駄な電力消費を抑えることが可能になるため、省エネを推進することにつながります。それでは、省エネにつながるIoTの活用事例を簡単にご紹介します。
人感センサーを用いた照明システム
人がいるときのみ自動で照明がつくという人感センサーを用いたシステムは、無駄な電力消費を抑えるために開発されたシステムです。人がいないにもかかわらず照明をつけていては、無駄な電力消費になってしまいますよね。
工場設備のエネルギーフロー図
複雑かつ大量に電力を消費する工場においてもIoTは活用されています。 省エネを図る際に、対策の優先順位を決めることは投資対効果を上げるうえでも欠かせません。工場内のエネルギーの流れをIoT技術を用いて「見える化」することで、エネルギーを多量消費している設備がどれで、どこから優先的に改善していかなければならないのか、探ることができるようになりました。
HEMS(ヘムス)
「HEMS」とは「Home Energy Management System」の略で、家庭用の電力管理システムのことを指します。HEMSを用いると、いつ、どの部屋の、どの機器が電力を多量に使用しているのかが一目瞭然になるため、省エネ対策が立てやすくなります。また、スマートフォンなどを用いてエアコンや給湯器のスイッチを遠隔から操作することで、無駄な労力をかけず効率よく省エネを推進することができます。
今後、今以上にあらゆる場面でIoTが活用されることで省エネが進めば、結果として脱炭素社会の実現が期待できるのです。
IoT:Internet of Things(モノのインターネット)人材の育成が重要である
ここまでで述べてきたように、IoTを活用することで省エネを一気に推進していきたいところですが、IT人材に関して大きな課題があるためなかなか前に進まないというのが現状です。
経済産業省の調査によると、IoTなどを扱う先端IT技術者は2025年には約25万人、2030年には約38万人が不足すると予想されています。つまり、IoTの推進に必要不可欠な人材が不足してしまっているのです。
省エネを推し進めていく上で、IoT技術を有した人材を育成していくことも重要になってくるのです。
出典:IDC Japan「国内IoT市場産業分野別予測とユースケース別の事例考察
一見するとIoTとは関係ないような業界の人々も、今後IoTと関わる可能性は十分に考えられます。先を見据えて、IoT技術について理解を深めておくことも良いかもしれません。
まとめ
IoT:Internet of Things(モノのインターネット)についての説明や、IoTがどのように脱炭素社会の実現に貢献できるのかなどについて、具体例を用いながらご紹介しました。
IoTは主に省エネ対策において大きな効果を発揮します。IoTを導入して工場内の電力消費を最適化したり、HEMSを活用して家庭内レベルで省エネを行うなど、すでにできることを着実に行うことが脱炭素社会の実現には不可欠です。IoTに対する理解を深め、できることをすぐにでも始めていきましょう。
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(※1)「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」は、IT・データを中心とした将来の成長が強く見込まれ、雇用創出に貢献する分野において、社会人が高度な専門性を身に付けてキャリアアップを図る、専門的・実践的な教育訓練講座を経済産業大臣が認定する制度です。
(※2)厚生労働省 教育訓練給付金