新しいLinux試験「LinuC」とは?LPIC資格の保有者こそ要チェック!
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- 2023/01/25
「LinuC」は、2018年に提供が開始され、その後2020年に改定されたLinux技術者認定試験です。クラウド時代に求められるLinuxスキルの保持を証明することができる試験として、採用や人事評価に取り入れる企業も増え、注目を浴びています。 そんなLinuCがどのような資格試験なのか、詳しくご紹介します。
目次
LinuCとは
LinuCとは、Linuxの認定試験を実施しているNPO法人、LPI-Japanが独自に作ったテストです。 正式名称を「Linux技術者認定試験 LinuC」(英名:Linux Professional Certification、読み:リナック)といいます。
「日本市場に最適化した試験&運用サービス」をスローガンに開発され、日本市場のニーズに合わせた試験という特長があります。初年度の2018年度のテストでは従来のLinux試験だったLPICの形を踏襲していましたが、 2020年4月1日から提供される試験(Version 10.0)からその出題範囲を大幅に改定し、クラウド時代のすべてのIT 技術者に必須の認定試験として生まれ変わりました。
多様な機器がIT化し、クラウド活用や主要技術のオープンソース化が進展している中で、クラウド時代に欠かせない本質的な技術を保有するエンジニアの技術力を認定するというのが改定の目的です。(2020年4月の改定では、LinuCレベル1とレベル2の出題範囲が改定。その後は改定なし。)
LPICとの違い
LPICとLinuCは、共にLinuxの実用的なスキルを証明するもので、似ている資格です。そもそもLinuCはLPICをベースに策定されたこともあり、形式も似通っています。特定のLinux OSや企業の製品に依存しない資格であること、CBT試験(コンピュータを使った試験方式)かオンライン試験であることも一致しています。
認定効力範囲の違い
LPICとLinuCの最も大きな違いは、認定が効力を発揮する範囲が異なるという点です。
LPICを始めLPIが提供する認定資格は、世界180か国・9言語で展開される、グローバルスタンダードの資格です。国際的基準の認定で、世界で同じ評価を受けられます。そのため認定を受けると、外資系の企業などに転職を目指す場合にも有効です。
一方のLinuCは、LPI-Japanが主催する日本国内向けの資格です。そのため、認定を受けたとしても海外の企業には評価されない可能性があります。ですが、日本でのニーズに最適化されており、日本の市場で求められる技術を学べるので、日本国内で転職活動を行うにはより適しているとも言えます。Webサイトが日本人にわかりやすくなっていたり、試験問題が日本語として自然であったりと、特に未経験の日本人の方にとっては、とっつきやすい資格です。
合否判定方式の違い
LPICとLinuCには、他にも大きな違いがあります。LPICは世界中で実施されているLinux技術者認定試験ですが、受験者にはスコアと合否の判定だけを知らせる方式をとっています。 一方、LinuCは、日本の市場に最適化した日本独自の試験であり、受験者は、スコアや合否判定のほかに合格基準、項目別スコアも併せて知ることができます。
LinuCが作られた背景
LinuCが作られた背景は2つあります。
1つ目は、Linuxの地域性の高さです。Linuxは各国で人気のLinuxディストリビューションが違うなど、地域性に左右されるOSと言われています。LPI-Japanはそのような背景から、より日本市場に最適化した日本独自の認定試験を作る必要があるとし、開発を決めました。
2つ目はLPICテストの情報漏洩問題です。LPICは世界共通で行われているLinux認定試験です。LPICでは、過去に外国の違法業者が試験問題の漏洩をしました。これは海外で起こった事件ですが、日本でも同じテスト、LPICテストが実施されており、日本のLinux認定試験の信用問題にもかかわります。そこで、LPI-Japanは日本で試験問題を管理することで、セキュリティの高さを追求したのです。
LinuCの特徴
LinuCには、3つのレベルがあります。各レベルの試験内容は下記の通りです。
LinuCレベル1(LinuC-1)
「LinuCレベル1」は、主に物理/仮想Linuxサーバーの構築と運用に関する知識が求められます。 試験は101試験と102試験の2種類のテストがあり、2試験を5年以内に合格して初めてレベル1の認定を取得することができます。問題数は約60問で、試験時間は90分間です。勉強時間の目安は1か月~3か月程度とされています。
なお、LinuCレベル1は情報処理推進機構が作成しているITスキル標準(ITSS)において、LinuCレベル1は「ITスペシャリスト」「アプリケーションスペシャリスト」「ソフトウェアディベロップメント」「カスタマサービス」「ITサービスマネジメント」の5分野において「レベル1」として位置付けられることを想定し策定されています。
LinuCレベル2(LinuC-2)
「LinuCレベル2」は仮想マシン・コンテナを含むLinuxシステム、ネットワークの設定・構築についての知識が求められます。 試験は201試験と202試験の2種類のテストがあり、2試験を5年以内に合格し、かつLinuCレベル1の認定を持っていることで初めてレベル2の認定を取得することができます。問題数はレベル1と同じく約60問で、試験時間は90分間です。勉強時間の目安は3か月~半年程度とされています。
LinuCレベル2は情報処理推進機構が作成しているITスキル標準(ITSS)において、LinuCレベル2は「ITスペシャリスト」「アプリケーションスペシャリスト」「ソフトウェアディベロップメント」「カスタマサービス」「ITサービスマネジメント」の5分野において「レベル2」として位置付けられることを想定し策定されています。
LinuCレベル3(LinuC-3)
LinuCレベル3は、3つの独立した試験、300試験、303試験、304試験の3つから構成されています。さらに、その3つの試験のすべてに合格する必要はなく、いずれか1つに合格し、かつLinuCレベル2の認定を取得していればレベル3の認定を取得することができます。その点が、LinuCレベル1、LinuCレベル2との大きな違いです。
次に、300試験、303試験、304試験それぞれの試験の特徴を解説します。
Mixed Environment(300試験)
300試験ではLinux、Windows、UNIXの混在環境でのシステムインテグレーションやトラブルシューティング、冗長構成でのDAP、OpenLDAP、Sambaを使ったシステムや認証サーバーの構築に関する知識が問われます。問題数は約60問で、試験時間は90分間です。勉強時間の目安は半年~1年程度とされています。
Security(303試験)
303試験では、Linux環境での認証の技術及びシステムセキュリティを考慮した、システムの計画・構成・設計・構築・実装、セキュアなシステムにするためのぜい弱性及びその対策の評価、トラブルシューティングに関する知識が必要です。問題数は約60問で、試験時間は90分間です。勉強時間の目安は半年~1年程度とされています。
Virtualization & High Availability(304試験)
304試験では、仮想化の概念と技術の理解に加えて、Linux/OSSを用いた仮想化システムの構築・運用・負荷分散・クラスタ管理、そしてLinux/OSSを用いたクラスタストレージなどの高可用性のための技術の構築・運用に関する知識が必要です。問題数は約60問で、試験時間は90分間です。勉強時間の目安は半年~1年程度とされています。
なお、LinuCレベル3は、情報処理推進機構が作成しているITスキル標準(ITSS)において、「ITスペシャリスト」「アプリケーションスペシャリスト」「ソフトウェア ディベロップメント」「カスタマーサービス」「ITサービスマネジメント」の5分野において「レベル3」として位置付けられることを想定し策定されています。
次に、LinuCレベル1、レベル2の各試験の有効期限について解説します。
LinuCレベル1、レベル2には有効期限がある
LinuCレベル1は101、102、レベル2は201、202というように、それぞれで定義されている2種類の試験の両方に合格しないと認定が得られません。しかも、その認定を受けるためには、両試験を有効期限内に受験する必要があります。例えばレベル1の101に合格した場合、次の102に合格するまでに時間がかかりすぎてしまうと、レベル1の101の合格が無効になってしまい、レベル1の認定は取得できません。
1試験目に合格後、もう一方の試験に合格するまでにかけていい時間は、レベル1、レベル2ともに5年間です。5年を過ぎると、先に受けたテストの合格は無効になってしまいます。ちなみに、それぞれのテストが独立している、LinuCレベル3では、このような有効期限はありません。
次に、LinuCレベル1、レベル2、レベル3が認定されたのちの認定の有意性とステイタスについて説明します。
認定ステイタス
LinuCには、「ACTIVE」と「INACTIVE」という2つの認定ステイタスがあります。LinuCの各種レベルの認定を受けた後、最初はACTIVEとして有意性が示されていますが、認定日から5年以内に同一レベルの認定の再取得または上位レベルの取得をしなければ、ステイタスが「INACTIVE」に変更されます。それぞれのステイタスの定義は次の通りです。
- ACTIVE ... 資格の「有意性あり」すなわち「現在活動中、現役」を意味
- INACTIVE ... 過去には認定されたスキルを保有していたが、現在はそのスキルが現役のシステム設計・開発・維持にマッチしないことを意味
この認定ステイタスの仕組み(再認定ポリシー)により、LinuCの認定者は、資格の有無だけでなく、その内容において最新の技術要素を反映した技術力を証明することが可能となりました。
再受験ポリシー
LinuCにおける再受験ポリシーとは、ある試験が不合格で同一試験を再受験する際に、前回の受験日の翌日から7日(土日含む)以上たってから、ようやく受験可能になるという方針のことです。
注意点としては、3点あります。
11点目は、遅刻や病欠などで実際に受験しなかった場合は、受験記録としてカウントされないので、再受験ポリシーが適用されないため翌日から受験可能であるということです。2点目は、翌日から再受験までの待機中にほかの科目の受験が可能であるということです。3点目は、旧バージョンの試験を受験して不合格だった場合に、新バージョンの同一試験を受けるときにも再受験ポリシーが適用されるということです。
最後に、LinuCの英語バージョンについて解説します。
LinuCの英語版
2019年2月1日、LPI-Japanはよりグローバルで通用し、信頼のできる認定資格であることを目指し、LinuCの英語版をリリースしました。世界規模で深刻なIT技術者不足が叫ばれる中、日本国内に目を向けると、2030年には約78万9000人のIT技術者が足りなくなると予想されています。人材確保のために外国人IT人材の登用への注目は高まりつつあります。そんな外国人IT技術者のための認定環境整備を目的としてLinuCの英語版がリリースされました。
まとめ
「LinuC」はLPI-Japanが独自に開発したテストとして2018年3月に始まったばかりですが、既に認定者が4万人を突破しています。世界的なIT人材の不足と合わせ、時代に求められるLinux技術者のスキルを証明する資格試験である「LinuC」は、今後もさらに受験ニーズが高まっていくことが予想されます。
「LinuC」はLPI-Japanが独自に開発したテストとして2018年3月に始まって以来、2020年3月時点で既に認定者が4万人を突破しています。世界的なIT人材の不足と合わせ、時代に求められるLinux技術者のスキルを証明する資格試験である「LinuC」は、今後もさらに受験ニーズが高まっていくことが予想されます。
インターネット・アカデミーは、LinuCの開発元であるLPI-Japanのアカデミック認定校です。そのため、資格取得から現場で役立つノウハウまで学ぶことができます。Linuxの資格取得や、スキルアップにご興味がある方はぜひ、インターネット・アカデミーにお問い合わせください。また、企業研修としてサーバーエンジニアを育成したい方、短期間で社員にLinuxの知識を学び資格取得をしてほしいとお考えの人事担当者の方は、法人様向けのお問合せ窓口にお問い合わせください。
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