システムアーキテクト(SA)とは?取得のメリット、試験概要も解説!
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- 2023/04/29

システムアーキテクトは、IPAが定めた情報処理技術者試験のレベル4に位置する国家資格です。開発におけるもっとも上流となる構想段階から参画し、システムの根幹となる基礎設計を担います。
また、ITコンサルタントとしての立ち回りも担い、クライアントが描くビジネスモデルをシステム開発によってどのように実現するのか現実的かつ具体的な構成を考え、設計に落とし込むことを求められることもあります。この記事では、システムアーキテクトの業務内容の詳細や、システムエンジニアとの違い、資格取得によるメリットについてご紹介します。
目次
システムアーキテクトとは
プログラマーやエンジニアの上級職に位置するシステムアーキテクトは、経済産業省が認定する国家資格「情報処理技術者試験」の試験区分のひとつです。試験のレベルは最上位のレベル4であり、毎年の合格率は10%台にとどまることからもその難易度の高さが伺えます。
システムアーキテクトは、上流工程を担当するエンジニアに必要な知識だけでなく、ビジネスに必要な知識も問われる難関資格なのです。
システムエンジニアとの違いは?
システムアーキテクトは、クライアントやコンサルタントが描いているビジネスモデルを実現させるために、どのようなシステム構成にしていくかを考える役割を担います。具体的には、各エンジニアが設計するための具体的なルール作りや、システムの基本設計を担当します。そのため、全体を見通したシステムを設計するスキルが必要不可欠です。
一方、システムエンジニアは、システムアーキテクトが作った基本設計をもとにさまざまな機能を設計していく役割を持っています。そのため、システムアーキテクトが作成したルールや基本設計に矛盾があると、システムエンジニアの仕事にも支障が出てしまいます。つまり、システムアーキテクトは、矛盾のないシステムを設計するためにも重要な役割を担っているのです。
システムアーキテクトには、最新の開発手法を検討・適用するだけでなく、システムの品質をも考慮しながら既存のシステムと連携させるという、舵取りの難しい立ち回りが求められます。
システムアーキテクトの仕事内容
システムアーキテクトの仕事は以下の通りです。
- システムの基本設計
- システムの開発側と顧客側との架け橋の役割
- 開発チーム内の意識統一と綿密なコミュニケーションの構築
- インフラの構成でトラブルが起こった際の解決
- 開発のサポート
上記からもわかるように、システムアーキテクトは開発の初期段階から関わり、開発中も現場の監督業務やサポートなどを行うため、プロジェクトの進行において多くの役割を担います。
また、開発担当のエンジニアだけでなく、各種要望を出す顧客とも綿密に関わる必要があるため、コミュニケーション力やリーダーシップも必要です。
システムエンジニアに求められるスキル
プログラミングスキル
システム開発における設計や分析を行うため、プログラミング言語の知識は必須です。
システムアーキテクトは、システムエンジニアやプログラマーに比べ、高いスキルが求められます。そのため、システム全体を考慮して制作したり、連携するWebサービスを選定したりする必要があります。システムエンジニアやプログラマーとして開発していたとき以上に、システムの全体を把握する事になるので、新しいプログラミング言語を習得していく必要性も出てくるかもしれません。
プログラミング言語を習得し、そのプログラミング言語でどんなことができるのか、どの程度のコストや時間がかかるのか、プログラマーが書いたコードは正しいのか等を理解できる状態にすることで、システムエンジニア(SE)の仕事をより円滑に進めることができるようになるでしょう。
設計スキル
システムアーキテクトにもっとも重要な能力が設計スキルです。クライアントの要求を現実的なシステムに落とし込むためには、高い設計スキルが求められます。クライアントから要望を細かくヒアリングし、実現のために何が必要なのかを考え、実際の業務フローなどを把握した上でプロジェクトを進める必要があります。そのため、コミュニケーション力はもちろん、マネジメント力やチームを引っ張るリーダーシップも必要になるでしょう。
システムの知識
システムアーキテクトには、システムの知識も欠かせません。
設計ができたとしても、システムの構築段階でクライアントの要望を実現できなくなってしまうと、プロジェクト自体がつぶれてしまいかねません。プロジェクトの成功率を高めるために、設計段階で懸念点を解消しておくことは非常に重要です。システムの知識はもちろんのこと、システムに関連する各種ツールについても知識があるとより良いでしょう。
コミュニケーション能力
システムアーキテクトはプロジェクトの全体像を把握した上で進行役を務めるため、現場を管理する役割を担う頻度も高くなります。
プロジェクトリーダーになることも多く、メンバー、他部門や協力会社などの関係者を取りまとめる必要も出てきます。プロジェクトをスムーズに進行させるためには、関係者との信頼関係の構築は欠かせません。そのため、コミュニケーション能力は必須スキルと言えるでしょう。
以上の5つのスキルが上級エンジニアを目指す上で必要なスキルになります。また、資格を取得することで客観的に自分のスキルを証明することができます。

システムアーキテクトに必要な多角的なスキルを証明するには、資格の取得が有効なんだね!
システムアーキテクト試験とは?
システムアーキテクト試験は、経済産業省が認定する国家資格である「情報処理技術者試験」の試験区分のひとつで、数あるIT系国家資格の中でも特に人気の高い資格です。
システムアーキテクト試験では、システム開発における設計や開発といった工程を担当するエンジニアに必要な知識が問われるため、上級エンジニアを目指す人にとっては必須の資格と言えます。企業の中には、社員の資格取得を推奨していたり、資格を所持していると採用試験の際に優遇される場合もあります。
システムアーキテクト受験のメリット
難関とされるシステムアーキテクト試験ですが、難易度が高い分、資格を取得できた場合に得られるメリットは大変大きいです。
メリットは具体的に、「市場価値の向上」「幅広いスキル・能力の証明」「構想段階のシステムデザインへの参画」「転職での有利性」などがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
①市場価値向上
システムアーキテクトの資格取得によって、自身の市場価値が高まります。そうなれば当然市場価値の高い仕事に従事できる機会が増えるでしょう。担当できる案件の幅も広がり、より上流の設計に携われるため、社内での地位や人材的価値の向上が見込めます。
②幅広いスキルや知識の証明になる
経済産業省のIT政策実施機関であるIPAは、システムアーキテクトが保有しているべき能力として、スキル、業界知識、マネジメント能力などを定義しています。資格を取得することで、これらのスキルや知識を持ち合わせていることを客観的に証明することが可能です。
③転職に有利
システムアーキテクトは多岐にわたるスキルを保有する資格のため、転職にも有利です。実務経験が豊富なシステムアーキテクトはまだまだ人材が少なく、各企業で奪い合いになっています。取得が難しい国家資格でもあるため、開発の知識だけでなく、ビジネスやマネジメントに関する知識や経験もアピールでき、転職の際も有利に働くことが期待できます。
また、システムアーキテクトの合格者は、弁理士、中小企業診断士、ITコーディネータなどの試験にて、一部の科目免除を受けることができます。そのため、例えばシステムアーキテクトの能力を発揮しながらITビジネスに強い中小企業診断士としてコンサルトしてのキャリアパスプランを作ることも可能です。この他、経済産業省によって設けられたITコーディネータのように、経営とITの両方の知識をもつ専門家として、キャリアを広げていくことも可能です。
システムアーキテクトは、IT業界でエンジニアとして働いている人であれば、どんな側面でも必ず役立てることができる資格です。
社会の情報化が進む現代において、ITエンジニアの存在価値は非常に高く、その中でも上級エンジニアの証であるシステムアーキテクト試験の合格は非常に高く評価されます。資格を持っていると自分のIT市場での価値を大きく上げることができるでしょう。
また、資格を持っている人には特別手当を支給しているという会社も少なくないため、取得することで年収をアップできる可能性が高くなります。
システムアーキテクト試験の概要
実施会場 | 全国62都市で実施 |
---|---|
受験料 | 7,500円 |
団体での申し込み | 不可。複数名の受験でも各個人で申し込む必要がある。 |
受験会場は、受験受付後に送付される受験票にて通知されます。受験者数が試験地の収容能力を超過した場合は、バス移動や宿泊が必要な会場での受験になる場合もあります。近年は感染症対策のための検温や書類提出、マスク着用も求められています。ルールを順守できない場合は受験できなくなる可能性もあるので、案内書や受験票は隅々まで目を通しておきましょう。
出題範囲
システムアーキテクト試験の出題範囲は、プロジェクトの全体を理解している上級エンジニアに求められるスキルが問われます。
上流工程である要件定義から開発、運用・保守までが出題範囲に設定されています。
- 契約・合意に関すること
- 企画に関すること
- 要件定義に関すること
- 開発に関すること
- 運用・保守に関すること
合格率
合格率は低く、例年10%台にとどまっています。システムアーキテクト試験は、実務経験者を対象としたかなりの高難易度試験です。過去問や参考書で知識を深め、受験に備えるようにしましょう。
試験内容
システムアーキテクト試験は、午前I・午前II・午後I・午後IIの4項目となっており、午前は4つの選択肢から1つの回答を選択する多肢選択式、午後は記述式の試験が行われます。
それぞれの試験時間と出題数、解答数は以下の通りです。
時間 | 形式 | 問題数 | |
---|---|---|---|
午前I | 50分 | 多肢選択式 | 30問 |
午前II | 40分 | 多肢選択式 | 25問 |
午後I | 90分 | 記述式 | 4問中、2問を選択して回答 |
午後II | 120分 | 記述式 | 3問中、1問を選択して回答 |

資格取得のためには参考書等を使って独学で学んでいく方法もありますが、IT資格取得のサポートを行うスクールに通ってみてはいかがでしょうか。スクールを活用することで、より無駄なく効率よく知識を習得することができます。
おわりに
システムアーキテクトは、エンジニアであると同時に、経営戦略に参画し、システム開発の面からビジネスモデルを支え、コンサルティングしていく総合的な立場にあります。
その証明となるシステムアーキテクトの資格は毎回1難易度の高い資格ですが、保有することによって多彩なキャリアプランを描けるため、IT開発に携わるエンジニアとしてはぜひ取得を目標としたい資格といえます。
システム開発が複雑性を増す中、システムアーキテクトの需要は今後ますます増えていくと考えられています。求められる水準が高い分、達成感も強くやりがいのある仕事なので、取得を視野に入れ、キャリアアップを目指してみてはいかがでしょうか。
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