TPAC 2014で経験したこと
2014年12月22日
TPAC(Technical Plenary and Advisory Committee)は一年に一回、W3C (World Wide Web Consortium)によって開かれる会合です。
W3Cに参画している全ての組織が会合に参加し、抱えているさまざまな問題をそれぞれの分野ごとに徹底的に話し合います。
今回、さまざまなグループを見学させていただき、現在発生している問題や、将来起こりうるであろう問題について多くを学ぶことができました。
また、今回のTPACはW3Cの設立20周年を記念するものでもありました。
まずはじめに、どのように議論が行われていたかを説明します。大きくわけて二種類の話し合い方がありました。
ワーキンググループとブレイクアウトセッションです。
ワーキンググループでは、それぞれのグループで起きていたプロジェクトの問題について、関係者が議論します。
一方のブレイクアウトセッションでは、来場者の誰もが議題に対して自由に意見を述べることができました。
私はまず、Webアプリケーションのワーキンググループを見学しました。
参加者はグーグル、モジラ、アップル、オペラ、マイクロソフトなどの主なブラウザベンダーと、東芝、ヤンデックス、NHKなどの方が参加していました。
このグループでは、Webアプリケーションにおける画面の向きの標準化などが話し合われていました。
また、話し合いの進め方がとても興味深いものでした。
彼らは、受け取ったユーザーの意見を全て集め、どのように問題を解決していくのが良いかを、膨大なユーザー体験から導き出していました。そして、他のグループでも似たような方法が用いられていました。
私はWebアクセシビリティの考え方をユーザーにどのように理解してもらうかについて話し合う教育と福祉活動のグループに参加しました。
彼らはWeb開発の経験がないユーザーに対して、Webアクセシビリティの重要性を理解してもらうためのツールについて議論していました。
そのツールはユーザーの現在の状況に応じて、各ケーススタディごとに最適化しようとすることを目的としています。
このツールを用いることによって、Webアクセシビリティの重要性を理解してもらい、彼らのWebサイトにいかにしてそれを導入するかというアイデアを育ててくれます。
W3Cにいることで、あらゆる産業がWebに投資していることを実感させられます。
グーグルやモジラ、アップルなどのブラウザベンダーはもちろん、自動車メーカー、テレビ放送局、電話会社、さらには家電メーカーまで、あらゆる業種の企業がWebの改善のために話し合い、私たちの生活をよりよくすることを目指しています。
参加した中で興味深かった議論は、CSSを円形デバイスに使っていくというものでした。
円形デバイスとは何かというと、スマートウォッチを考えてみてください。
腕時計はスマートデバイス市場における次の大きな流れとされており、 HTMLやCSSをそれらのデバイスでどう活用していくかの話し合いがすでにはじまっているのです。
多くの国でインターネットは生活基盤として必要不可欠なものだとされています。
そしてそのほぼ全ての産業において、彼らのビジネスとWebとの接続が、商用、非営利を問わず活用されています。
Webはもはや、冷蔵庫からビルに至るまで、あらゆるものと統合されていきます。とてもわくわくする時代ですね!
私がTPACで経験したことは本当に驚くべきことばかりでした。
WebとHTML(もちろん最近正式勧告されたHTML5を含め)の未来が楽しみで仕方ありません。
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