Google I/Oにて発表されたIoT用OS「Brillo」とは?
2015年5月31日
毎年、5月の末から6月の頭にかけては、テック業界の人や新しいものに敏感な人にとっては最もワクワクする時期のひとつかもしれません。今年の場合には、5月28日、29日とGoogleの技術者向け発表会である「Google I/O (アイオー)」が開催され、6月8日から12日にかけてはAppleの技術者向けイベントである「WWDC」が開催される予定になっています。この2大イベントとも言える技術者向けのイベントで、さまざまな新製品や新サービスが発表されることになるのです。
今回のGoogle I/Oで発表されたもので、個人的に一番注目したのは、IoT (インターネット・オブ・シングス) 用のOSとしてAndroidから派生した「Brillo」を発表したことです。実は、前々から噂がされていた「Brillo」ですが、今回のGoogle I/Oで正式に発表され注目が集まっています。
そもそもIoTとは?
IoTという言葉は、最近では新聞でも日常的に見かけるようになってきました。Internet of Thingsの略で、日本語では「モノのインターネット」と言われたりします。すごくシンプルにいうと「スマートテレビ」とか「スマートウォッチ」、「スマートハウス」など、今まではインターネットにつながっていなかったような「モノ」を、インターネットに繋げて相互に接続されるようなネットワークや、その概念のことを指しています。最近ではエアコンや冷蔵庫が出てきていますね。
Brilloの役割は?
いわゆるIoTの製品を作る場合には、WiFiに接続をしたり、ディスプレイに何かを表示したり、インターネット経由で何かの情報や命令を受け取ったりと、スマートフォンやパソコンと同じような機能が求められることが多くあります。コンピューターを動かす上では、必ずOSというコンピューターの一番基礎となるシステムが必要です。しかし、このOSを動かすだけでも結構なパワーが必要になるのですが、たとえばエアコンであったり、冷蔵庫であったりといった家電製品などは、パソコンやスマートフォンと比較すると、とてもとても力の弱い処理能力しか搭載されていません。そこでGoogleは、スマートフォンに使用しているAndroid OSから派生させた新しいOSとして、処理能力が低くても動作させやすい軽量のOSを用意したわけですね。それが、「Brillo」です。
まだBrilloは発表されただけで、詳細についてはまだまだ不明なところが多い状況です。2015年第三四半期に技術者向けに公開がされる予定とのことですが、IoT製品を作っている会社には無料でBrilloを提供するという話もありましたので、ここからIoTの波はまた一段と大きくなってくるかもしれませんね。
同時に発表されたWEAVEの存在
Brilloと同時に発表されたのがWEAVEというシステムです。このWEAVEは、スマートフォンやクラウドアプリケーションとBrilloを使ってつくられたIoTデバイスの接続、連携をさせるシステムです。
たとえば、Brilloで作られたエアコンと家の鍵があったとします。あらかじめWEAVEに対し、「家の鍵が外側からロックされたら、エアコンの電源をオフにする」というシステムを組んでおいたとしましょう。そうすると、外出をする際に家の鍵を閉めた時点で、エアコンの電源が自動的にオフになるのです。
まだまだ、このWEAVEに関しても、詳細が発表されたわけではないので、楽しみに待っていたいところです。
ちなみにWeb of Thingsは?
Web of Things (WoT) はIoTと概念としては同じですが、「インターネット」ではなく「Web」の技術、通信を使ってモノを繋げていきましょうというものです。すごくシンプルにいうと、上記で説明したWEAVEのシステムで行うことを、Web技術や通信規格を使い実行しようという考え方です。具体的にはHTML5やJavaScriptなどが主役の技術になってきますが、日本ではEchonet Liteといったスマートハウス向けのAPIも存在しているので、そのAPIとWeb技術を接続することで実装が可能になってきます。Web技術の知識を持っているWebデザイナーがWebサイトを作るのではなく、冷蔵庫やエアコンを操作するアプリを作る日も近いかもしれませんね。
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