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インドでのソフトウェア/Web開発事情とオススメ開発支援ツール

2015年11月 2日

本日は、インドのソフトウェア/Web開発現場についてと、便利で使える開発支援ツールについてご紹介したいと思います。

製造業やプロダクション関係のお仕事をなさっている方からすると、
「インド = オフショア開発の依頼先」というイメージが強いことでしょう。

そもそもオフショアとは、
海岸(Shore)から離れた(Off)場所、
つまり「海外」の製造会社やプロダクションに外注(アウトソース)することを意味します。

技術者が豊富にいて、英語に不自由せず、物価が比較的安いインドは、
グローバル企業にとって格好のオフショア開発依頼先と言えます。

そんなオフショア開発で必ずといっていいほど課題になるのが、
いまやメインストリームと言えるアジャイル・ソフトウェア開発プロセスの導入のしづらさです。

アジャイル・ソフトウェア開発プロセスとは、クライアントの要望の変化に合わせて、臨機応変にソフトウェアを開発する手法のことです。

ソフトウェア/Web開発プロジェクトは、「計画」 ⇒ 「開発」 ⇒ 「検証」 ⇒ 「納品」 の順に行われます。

従来のやり方は、上記の1フェーズごとに時間をかけて順に作業を進めていく「ウォーターフォール型」と呼ばれる開発プロセスを用いてきました。

それに対し、1件の開発案件の中で上記のサイクルを短周期(1週間~1ヶ月間)に何度も繰り返し行うことで、素早く、かつクライアントからのフィードバックをリアルタイムに反映しながら進めるやり方が「アジャイル・ソフトウェア開発プロセス」です。

クライアントに何度も納品し、意見を求めるため、従来よりも顧客満足度の高い完成物を納品できるというのが最大の魅力です。

この開発手法は、クライアントが近距離にいて相談しやすい場合には良いのですが、
オフショア開発現場で導入する際には、いくつかの課題が存在します。

まず、アジャイル開発には、クライアントと開発者の間で密で頻度の高いコミュニケーションが欠かせません。

具体的には、1週間に1回、ないしは1ヶ月間に2、3回のミーティングを設定せねばなりません。

また、リアルタイムの進捗管理やコミュニケーションを可能にするソフトウェアを用意するなど環境を整えたり、開発者はもちろんクライアント側にも積極的にプロジェクトに関与するという強い意志が求められます。

ここまででご紹介した通り、魅力が多い反面、
オフショア開発現場ではアジャイル・ソフトウェア開発プロセスを導入するのは簡単ではありません。だからこそ、どの開発手法を採用するかは、プロダクト・マネージャらが最初に頭を悩ませる大きな問題なのです。

東京と大阪をまたぐプロジェクト管理だけでも難しいのに、
ましてや国をまたぐプロジェクト管理ともなると、
その悩みも数倍、数十倍とスケール・アップするといっても過言ではないでしょう。

ミーティング設定や精神論に関してはさておき、
進捗管理やコミュニケーション・ツールに関しては、
昨今さまざまな解決策がディベロッパー・コミュニティで提案されていますので、
実際に私が今たどり着いている便利なツールをいくつかご紹介したいと思います。

付せん

アナログツールの王道です。

ふと思いついたことをすぐ書けて、
適当に貼っておけて、
必要に応じてグループ分けもでき、
終わったらパッと捨てられる。

付せんの手軽さに適うツールは、私の知る限り存在しません。

Trello(トレロ)

付せんの快適さをおそらく最もよく再現しているであろうオンライン・サービス、

それが「Trello」(トレロ)です。

ユーザーストーリーやTo-doを書くカードと、
カードをグループ分けするリスト機能、
さらに各カードに詳細説明やチェックリストまで付けられます。

またチームメンバーを招待して、
プロジェクトボードを作ることも可能です。

たとえばTrelloチーム自身がオススメしている、

・ウィッシュリスト
・発見
・見積もり
・プロダクト・バックログ
・スプリント・バックログ
・実装
・完了
・テスト可能
・承認
・却下
・リリース可能
・リリース完了

というようなグループ分けをすると、
流行りの進捗管理術「かんばん」方式を再現できます。

「かんばん」方式とは、
いわゆるトヨタ生産方式からヒントを得た進捗管理術です。

各作業工程をホワイトボードやTrelloなど全員が見える場所に表示し、
具体的な作業内容と担当者、〆切といった情報を書いたカードを
現在の作業工程に応じた場所に配置します。

いま具体的に誰がどの工程のどの作業を担当しているのか、
すでに何が終わっていて、あと何が残っているのか一目瞭然となり、
プロダクト・マネージャらが、
全体スケジュールを遅らせないためのリソース配分が行いやすくなります。

Skype(スカイプ)

なんだかんだでフェイス・トゥ・フェイスのミーティングが一番大事です。

機能性はどのサービスもほとんど同じなのですが、
Skypeがほかの通話ツールより優れているところは、
通話を繋げるためにあらゆる通信経路、通信方式を試してくれるところです。

インターネット回線が不安定なときにも、
通話の繋がる確率が比較的高いです。

さらに仕事では、
セキュリティの比較的高いSkype for Businessがオススメです。

Koding(コーディング)

コーディング・エディターと、
ローカルサーバーと、
チャット・ツールの定番3ツールが、
1つに合体したようなオンライン・サービスです。

コーダーがコードを記述している様子を
たとえばテクニカルリードがリアルタイムにチェックし、
そのままコード・レビューすることができます。

さらにPHPやPerlスクリプトまで動作確認可能です。

ほかにも、
バージョン管理を考え始めるとGitが必要になったり、
スライス作業をなくすためにBracketsエディタを使ったりと、
Web開発作業をサポートする様々なツールが世に登場しています。

まだ開発プロセスの足元を固められていないという方は、
上記でご紹介したようなツールから始めてみて、
みなさんのチームに合ったベストな組み合わせを見つけてみてください。

本ブログは、日本初Web専門スクールのインターネット・アカデミーの講師が運営するWebメディアです。 スクールの情報はもちろん、最新のWebデザイン・プログラミング・Webマーケティングについて役立つ情報をご紹介しています。

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現在、マサチューセッツ工科大学のW3C本部に在籍し、HTML開発とインターネット・アカデミーのカリキュラム開発を担当する。

海外支店責任者として、アメリカとインド、日本を行き来する。5年間、マサチューセッツ工科大学のW3C本部に在籍し、HTML開発と普及活動を行ってきた経歴を持つ。

日本の新宿校、渋谷校インストラクター。主にWebマー ケティングとクリエイティブ系の授業を担当。

バンガロール校インストラクター。デジタルマーケティング が専門分野。

Google認定Webマーケティング講座の企画・開発に携わる。「PHPカンファレンス2011」で講演。「PHP公式資格教科書」の執筆など

バンガロール校支店長。Webプロデューサー、インストラクター、エリアマネージャを経て、現在はグローバル展開のビジネスディベロップメントを担当。

「W3C"HTML5 Tour"」での講演や、インド校にてWebデザイナーおよびチーフインストラクターを勤めた経歴を持つ、人気キャリアプロデューサー。

フランスにあるW3CのEUホスト、ERCIM(欧州情報処理数学研究コンソーシアム)に常駐し、Webの研究を行うインド人インストラクター。Webマーケティングに精通している。

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