【初心者向け】デジタルスキル標準（DSS）とは？

近年、多くの企業がDX推進に注力しています。今後、デジタル分野において成長を続けていくためには、企業全体でDXへの関心やITリテラシーを高めるだけでなく、高い専門性をもった人材の育成・確保も必要不可欠です。今回は、経済産業省と情報処理推進機構（IPA）が策定した、DXに関する学習や人材育成に関する指針、デジタルスキル標準（DSS）について解説します。

デジタルスキル標準とは

デジタルスキル標準とは、DXの基礎知識や心構えを学習するための項目、そしてDXに必要な人材とスキルを取りまとめた指針です。経済産業省と情報処理推進機構（IPA）により策定され、2022年12月に公開されました。

なるほど。DXって聞いたことはあるけどどんなものなのかな？

DXとは

デジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること
既存の価値観や枠組みを根底から覆すような革新的なイノベーションをもたらすもの

DX（デジタルトランスフォーメーション）とは、企業がAI、IoT、ビッグデータなどのデジタル技術を用いて、業務フローの改善や新たなビジネスモデルの創出だけでなく、レガシーシステムからの脱却や企業風土の変革を実現させることを意味します。

DXが及ぼすのは単なる「変革」ではなく、デジタル技術による破壊的な変革を意味する「デジタル・ディスラプション」です。すなわち、既存の価値観や枠組みを根底から覆すような革新的なイノベーションをもたらすものと定義されています。

DXについて理解できましたか？それではデジタルスキル標準について一緒にみていきましょう。

デジタルスキル標準は、次の2つの指針から構成されます。

デジタルスキル標準の指針

DXリテラシー標準（DSS-L）:全てのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキルの標準
DX推進スキル標準（DSS-P）:DXを推進する人材の役割や習得すべきスキルの標準

「DXリテラシー標準」は全てのビジネスパーソンを対象としている一方、「DX推進スキル標準」は、専門性を持ってDXを推進する人材を対象としています。

DXリテラシー標準とは

DXリテラシー標準は、デジタルスキル標準を構成する指針の1つで、全てのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキルであるDXリテラシーの標準を示した指針です。
DXを推進する上で必要な考え方、知識、技術が体系化されていて、学習項目も整理されているため、DXに必要な知識やスキル、心構えを学習する際の指標になります。

DX推進スキル標準とは

DXリテラシー標準が、すべてのビジネスパーソンを対象にしたDXに対する心構え・知識・技術であったのに対し、DX推進スキル標準は、「実際にDXを推進していく人材」を対象とし、DX人材を役割別に分類し、それぞれが習得すべきスキルを定義した指針です。

各人材の役割が明確になり、かつその職種に求められるスキルの標準が定められているため、自社のプロジェクトの人材配置、明確な指針に沿った人材育成・採用活動等に活用できます。

日本のDX人材は不足している

経産省やIPAが、デジタルスキル標準をはじめとする様々な施策を日本国内の企業に提唱していることからも、日本のDX人材不足が深刻化していることは明らかです。

スイスの国際経営開発研究所（IMD）が発表した「世界のデジタル競争力ランキング2022」において、日本は63ヵ国中29位と過去最低の結果となりました。中でも「デジタル・技術スキル」、「ビッグデータやデータ分析の活用」などの調査項目は60位以下であり、日本国内のIT人材の不足やそれに起因したデジタル・技術スキルの不足など、DX推進の遅れが浮き彫りとなりました。

この問題を解決し、専門的なDX推進スキルを持つ一部の高度人材がプロジェクトを担当し、経営者を含む全ての人材がDXリテラシーを持つ状況を実現できれば、日本のDXの推進も期待できます。

DX人材に求められるスキル

先に紹介したDX推進人材の5つの人材類型は、下図に示された通り、さらに14のロールにわかれています。

引用：デジタルスキル標準Ver.1.0／独立行政法人情報処理推進機構、経済産業省

おわりに

今回は、デジタルスキル標準(DSS)について、その根幹にあるDXの説明も含めてご紹介しました。DSSを用いて、企業はDX推進に必要な人材のスキル・知識が自社でどのくらい足りないのかなどを可視化できるようになります。また労働者側も、自身が目指すロールで必須のスキルは何かなどを捉えやすくなるというメリットがあります。

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