Pythonでスタート!機械学習入門 - Pythonでできることとは?
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- 2023/04/12
現在は第三次AIブームと呼ばれ、人工知能技術が注目されています。このブームの中核をなすのがディープラーニング(深層学習)などをはじめとする「機械学習」と呼ばれる技術です。これらの言葉を聞いたことはあっても、実体がどのようなものか知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は「機械学習入門」として、機械学習とはどのようなものか、また機械学習においてPythonでできることについてご紹介します。
Pythonは「機械学習」の実装に使われている注目のプログラミング言語です。では、その機械学習はどのようなものか、見ていきましょう。
目次
「機械学習」とは?(入門編)
近ごろよく目にするようになった「機械学習」という言葉ですが、その範囲はとても広く、学習しようと思ってもどこから手を付ければいいのか分からないというのが実情でしょう。
まず最初に、機械学習とはどのようなものかご紹介します。
「機械学習」とは?(入門編)
機械学習とは、人間が持つ「学習」にあたる仕組みを機械(コンピューター)で実現する技術・手法の総称です。一口に機械学習と言ってもさまざまなアルゴリズムや手法が存在し、代表的なところではAIを実現する手段としての「ディープラーニング(深層学習)」があります。
ディープラーニング(深層学習)とは、ニューラルネットワークと呼ばれる機械学習の手法を発展させたもので、人間の神経細胞の仕組みをシミュレートした構造を利用しています。言い換えると、複雑な神経回路のつながりを数式化したことによって、機械独自でも人同様の「学習」ができるようにしたのです。有名な例に、人間のプロ棋士を破ったことで有名になったGoogleの囲碁ソフト「AlphaGo」や、自動車の自動運転などがあり、その他にも幅広い分野で応用され、既に実用化されているものもあります。
機械学習の手法は多数存在しますが、それらは「教師あり学習」、「教師なし学習」、「強化学習」の3つに大別することができます。
機械学習に用いられる言語
機械学習を実装するプログラミング言語として、最も人気なのがPythonです。このほかR、C/C++、Javaなどでも機械学習の実装を行うことも可能ですが、これら言語の中でPythonは、使用される頻度およびその応用範囲の広さで抜きんでています。
機械学習でPythonが人気の理由
機械学習を実装するプログラミング言語としてPythonが人気なのはなぜでしょうか。主な理由として3つ挙げることができます。
1.信頼性が高い
1つ目の理由は、プログラミング言語としての信頼性が高いことです。Pythonは、既に私たちが知っているサービスで用いられています。例えば、動画共有サイトの「YouTube」やSNSの「Instagram」、さらにはクラウド型のストレージシステムである「Dropbox」など、身近なサービスに用いられています。
このほかにもPythonをベースにサービスを開発している企業は多く、Pythonの信頼性が高いことがうかがえます。
2.文法がシンプル!
2つ目の理由は、Pythonの文法がシンプルであることです。初めてプログラミングを学ぶ人にとって、Pythonは取り組みやすい言語として知られています。
プログラマーをはじめとするプログラミング専門の技術者ばかりではなく、データサイエンティストなど技術者以外の人にも用いられることを想定して開発された言語のため、文法がシンプルに設計されているのです。
3. コミュニティが活発!ライブラリも充実
3つ目の理由は、Pythonはライブラリが充実していて、コミュニティも活発 という点にあります。Pythonを用いた機械学習を行う際に定番のライブラリである「scikit-learn」をはじめ、ディープラーニングに使用する「TensorFlow」、「PyTorch」、「Chainer」といったライブラリが存在します。
機械学習に関するライブラリがこれほど充実している言語は、現時点でPython以外にありません。また、各ライブラリに関する情報提供や議論ができるオンラインコミュニティも充実しているので、情報収集に困ることはほとんどありません。
以上3つの理由から、Pythonは機械学習を始めるのに最適のプログラミング言語だと言えるでしょう。
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機械学習においてPythonでできること
それでは一体、Pythonを用いた機械学習はどのようなシーンで活用されているのでしょうか。ここではPythonを用いた機械学習の応用例とともに、使用するライブラリをご紹介します。
1.株価・仮想通貨の値動きの予想:scikit-learn
機械学習は、ある一定の周期的パターンを持つデータが、今後どのように変化していくかを予想するのに有用です。そのため、機械学習は株価や仮想通貨のチャートの値動きを予想する際によく利用されます。
株価や仮想通貨の値動きのデータは、現在インターネットで誰でも簡単に入手できるようになっています。そのため、多くの投資家は自らの投資手法が有効かどうかを検証するのにインターネットを介して「バックテスト」と言われる検証作業を行い、投資判断を行っています。
このバックテストに機械学習のライブラリ「scikit-learn」などをあわせて用いることで、検証の手間を大幅に省くことができ、検証の精度を上げることができます。
このように一見プログラミングとは無縁に思われる投資家たちも、実はPythonや機械学習を学び投資に役立てているのです。
2.スパムメールの除外(メールの分類):Selenium
GmailなどWebメールサービスを利用している中で、「昔と比べてスパムメールの数が減った」と実感されている方も多いのではないでしょうか。また、Gmailの場合は一般的なメール(メイン)と、SNSなどの情報(ソーシャル)、広告・宣伝など(プロモーション)に自動的に分類してくれるので「分類する手間が省けて楽になった」と感じている方もいらっしゃるかと思います。
このようなメールの自動分類が可能になったのも、機械学習のおかげです。「scikit-learn」にはNaive Bayes(ナイーブベイズ)※1 、SVM(サポートベクターマシン)※2 などの分類アルゴリズムが存在します。これらを活用し、あらかじめスパムメールの典型的なパターンを学習させておけば、新規に送られてくるメールを自動的かつ瞬時に一般のメールなのか、それともそれ以外のメールなのかを分類することができるのです。
自動分類機能は、インターネット上から自分の欲しい情報を自動的に収集する時にも役立ちます。
Pythonには「Selenium」というWebブラウザを自動操作できるライブラリが存在します。このライブラリを利用することで、Webブラウザを自動操作してインターネットの情報を収集させることが可能になります。これを「スクレイピング」と言います。スクレイピングと文章の分類機能を組み合わせれば、より高度な情報収集システムを構築することができます。
例えば、アップル社に関する情報を調べたい場合、「アップル」というキーワードを入れて検索すると、果物のリンゴなどの余計な情報も検索結果に表示されます。このような場合、あらかじめアップル社の情報を機械学習を用いてコンピューターへ学習させておけば、余計な情報を排除して必要な情報のみを収集することができるのです。
この方法は、前章でご紹介した株価・仮想通貨の値動きの予想の場面でも、投資家が投資情報を収集するツールとして活用できます。
※1. Naive Bayes(ナイーブベイズ)
データが与えられたときに、全ての推定の確率を計算し、最も確率の高いものを出力するアルゴリズムです。数学(確率論)の定理である「ベイズの定理」がもとになっています。
※2. SVM(support vector machine:サポートベクターマシン)
教師あり学習を用いるパターン認識モデルの1つで、現在知られている手法の中でも認識性能が優れていることで知られています。詳細な説明はここでは割愛します。
3.顔の自動分類:OpenCV
現在、実用化されている機械学習として有名なケースの一つが「顔の自動分類」です。顔の自動分類は、主にセキュリティ分野で活用されている技術で、入室制限がある部屋に入るための本人認証や、監視カメラの画像を利用して容疑者を追跡するツールとして使われています。
Pythonの「OpenCV」という画像認識ライブラリを用いれば、画像に写っている顔の認識を簡単に行うことができます。「OpenCV」とディープラーニング(深層学習)など機械学習のライブラリを組み合わせることで、容易に顔分類システムを作ることが可能です。
機械学習の手法の中で顔の自動分類に有効なものは、ディープラーニングです。Pythonで使用可能なディープラーニングのライブラリには「TensorFlow」、「Chainer」、「PyTorch」などが存在します。
中でも人気があるライブラリは、Googleによって開発された「TensorFlow」です。TensorFlowは教材や情報が多く、最初に学ぶライブラリとしてTensorFlowを用いるのが一般的です。
しかし、同じディープラーニングのライブラリでも、それぞれ得意分野が異なりますので、ある程度学んだ後はそれぞれの特性を活かして使い分けるとよいでしょう。
4.自動車の自動運転:OpenAI Gym
昨今注目されている「自動車の自動運転」も、機械学習によって実現される代表的な技術です。
自動車の自動運転には、さまざまな機械学習のアルゴリズムが複合的に用いられていますが、この中で中心となるのが「強化学習」のアルゴリズムです。
自動車の自動運転の学習は、最初から実際の車両で行うわけではありません。まず3Dグラフィックスで作成された仮想空間(バーチャル空間)上で走行シミュレーションを繰り返し、十分に学習した上で実際の車両に適用されます。
走行シミュレーションは、実際の車道を模した仮想空間をコンピューター内に構築して行い、事故を起こした場合はペナルティを与えるなどの学習を膨大な回数繰り返します。こうすることで、コンピューターは次第に最適な自動走行アルゴリズムを習得するのです。
実際の車両を用いて試験走行するのは、仮想空間でのシミュレーションを通した試行錯誤と学習を繰り返し、ほぼ事故が起こらない状態になってからです。
近ごろは研究施設から出て公道で実証実験が行われるほどまでに開発の段階は進んでいます。しかし、複数の危険が同時に迫ってきた場合、どう対処するかなど未解決の問題も存在します。本格的な運用に至るには今後も研究を重ねる必要があります。
なおPythonでは、強化学習のためのライブラリとしては「OpenAI Gym」がおすすめです。自動運転のアルゴリズムそのものを学ぶのは困難ですが、OpenAI Gymを利用することで強化学習を簡単に導入することができます。
おわりに
機械学習やその関連技術は大変速いスピードで進化を続けていて、活用をするためには機械学習だけではなくディープラーニングやニューラルネットワークについての理解も求められます。
最近は、一般のビジネス現場においてもAIエンジニア、機械学習を実装できる人材、さらにはデータサイエンティストなどのニーズが高まっています。つまり、Pythonをはじめとするプログラミング言語や、機械学習を学ぶことが将来のキャリアアップやキャリアチェンジにつながる可能性があるのです。
機械学習への興味からPythonに関心を持った方も、既にJavaなど他のプログラミング言語を習得していて、これから機械学習を学習したいと思っている方も、是非Pythonにチャレンジしてみてください。
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