IOWN(アイオン)構想とデジタル社会!スマートな未来の実現に向けて
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- 2024/02/29
2023年12月13日から15日までの3日間にわたって東京・渋谷で最先端の通信インフラIOWNを使ったイベント「IOWN WEEK」が開催されました。イベントでは「Shibuya Sakura Stage」にIOWN技術を導入し、その特性を体験できるイベントステージが披露されました。
IOWN構想もその中の一つです。今注目の次世代通信構想でどのようなことが可能になるのか、一緒にみていきましょう。
目次
IOWNとは
IOWNは、Innovative Optical and Wireless Networkの頭文字をとったもので、「革新的な光と無線のネットワーク」を意味します。
2019年にNTTが提唱した構想で、光電融合技術を活用した情報通信基盤を開発するという目的のもとにインテル、ソニー、富士通、エリクソンなど120をこえる企業が参加しています。
IOWN構想とは簡単に言うと、豊かな社会を実現するために、光を中心とした革新的技術によって、これまでできなかったようなインフラをつくるというものです。
既存ネットワークと比較してはるかに性能が良いIOWNのネットワークは、大容量のデータをより高速かつスムーズに送受信できます。将来的には電力効率100倍、伝送容量125倍、遅延1/200倍のネットワークの構築を目指しています。
3つの構成要素
オールフォトニクス・ネットワーク
オールフォトニクス・ネットワーク(APN: All Photonics Network)のPhotonicsとは光を意味します。つまり、いままで電子ベースの技術で処理していた部分を全て光ベースの技術に置き換えることで通信処理のロスを減らし、大容量・低遅延・低消費電力を実現するということです。情報処理基盤のポテンシャルの大幅な向上が期待できるこの技術は遠隔医療やeスポーツに活用できます。
コグニティブ・ファウンデーション
コグニティブ・ファンデーション(CF: Cognitive Foundation)は迅速なITリソースの配備と構成の最適化を実現することを目的として、「異なるレイヤのリソースを最適統合するマルチオーケストレータ」の役割を担っています。従来の枠組みを超え、より広範な世界でICTリソースを連携させて活用するために、あらゆるICTリソースを全体最適に調和させて、必要な情報をネットワーク内に流通させる機能です。
デジタルツインコンピューティング
デジタルツインコンピューティング(DTC: Digital Twin Computing)とは、現実の世界から収集したデータをコンピュータ上で再現するデジタルツイン技術を応用し、実世界におけるモノ・ヒト・社会に関する高精度なデジタル情報を掛け合わせることで、大規模かつ高精度な未来予測や新たな価値を持った高度なコミュニケーションの実現をめざすものです。
これらの3つの主要技術分野で既存のインターネットの基盤を変え、スマートな社会の実現を目指すというのがIOWN構想です。
デジタル社会
2023年6月、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が閣議決定されました。
これを受けてデジタル庁では、デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会を目指し、以下の6つの分野で施策を展開するとしています。
- 1. デジタル化による成長戦略
- 2. 医療・教育・防災・こども等の準公共分野のデジタル化
- 3. デジタル化による地域の活性化
- 4. 誰一人取り残されないデジタル社会
- 5. デジタル人材の育成・確保
- 6. DFFT※の推進をはじめとする国際戦略
※DFFT:Data Free Flow with Trust:信頼性のある自由なデータ流通
ここ数年では、国全体でデジタル社会の実現のための取り組みがますます増えています。 こうした動きに伴いIT人材の不足が顕著になっているため、今後さらにIoT人材が必要となることが予想されます。
また、デジタル社会の実現に向けた理念・原則のひとつとしてサービス設計12箇条を提示しています。
- 1. 利用者のニーズから出発する
- 2. 事実を詳細に把握する
- 3. エンドツーエンドで考える
- 4. 全ての関係者に気を配る
- 5. サービスはシンプルにする
- 6. デジタル技術を活用し、サービスの価値を高める
- 7. 利用者の日常体験に溶け込む
- 8. 自分で作りすぎない
- 9. オープンにサービスを作る
- 10. 何度も繰り返す
- 11. 一編にやらず、一貫してやる
- 12. 情報システムではなくサービスを作る
IOWNはこれらの多くの項目に当てはまっているため、まさに次世代に求められている通信構想であるといえるでしょう。
IOWNで社会課題を解決
中長期的な視点でみると、IOWNの普及は社会的な課題の解決に貢献します。
近年日本では電力の需要が供給量を上回っており、電力需要がひっ迫している状態が続いています。人々が膨大な量のデータを扱うようになったことで、データセンターの消費電力も増え続けています。
エネルギー消費の削減やカーボンニュートラルの達成が目標とされている中で課題となっているこの現状を、IOWNで変えることができると考えられています。
現在一般的に使われている電気的な信号処理は、データを伝送する際のエネルギー損失が大きいです。これを光信号に置き換えることで、よりエネルギー効率の優れた半導体技術ができるということです。
IOWN構想を通じて、低消費電力な技術を実装することで、データセンターなどの消費電力を抑えることができます。また、人々の生活にIOWNが浸透することで、サーバー・パソコン・スマホ等の電力消費を減らすことができます。多くの人が日常的に使っているこれらのものの電力消費を減らすことは、社会に大きなインパクトを与えることになります。
このようにIOWNによって電力需要を大きく削減することができるため、持続的可能な社会の実現につながります。
IOWNで多様性のある豊かな社会へ
NTTはIOWN構想について、2024年の仕様確定、2030年の実現を目指して開発を進めています。
最終的な目標としては、企業だけでなく個人が日常生活の中で利用できることを念頭に設計されています。
現在一般的な通信形態として、家の中では電波を使ったWi-Fiが使われ、家の外に光ファイバーが引かれているという状態になっています。これを個々の端末の中まで持ってきて端末の中のチップ間の伝送もすべて光の技術を使うことで究極の省エネが実現します。
この技術を使うことで具体的にどのようなことが可能になるのか、以下のようなものが挙げられます。
IOWNによって実現できること
- 充電を意識せずスマホを使い続けることができる
- ダウンロード、アップデートが一瞬で完了する
- 空飛ぶ車、宇宙旅行、海中旅行などができるようになる
- リモート会議のタイムラグがなくなる
- 事故や渋滞がなくなる
- リアルタイム自動翻訳
- バーチャルシュミレーション販売
このように、IOWN構想がもたらす変化は私たちの身近な場面にまで及びます。IOWN構想の実現で日常生活がより便利で豊かなものになることが期待できます。
おわりに
今回はデジタル社会の実現に向けた取り組みの一つであるIOWN構想についてご紹介しました。様々なモノとインターネットをつなぐIoTは、先端IT技術として業界を問わず活用されています。それに伴い、IoTの開発にかかわるエンジニアの需要も高まっている反面、先端IT技術を身につけた人材は不足しています。
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デジタル社会の実現に向けて色々な取り組みが行われているんだね。