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次世代のオープンソース活用セミナー ~人工知能(AI)・フィンテック(Fintech)の市場動向~ 開催レポート

2016年10月13日

次世代のオープンソース活用セミナー ~人工知能(AI)・フィンテック(Fintech)の市場動向~ 開催レポート

今、世界の証券取引所の約80%の基幹システムではLinuxが使われています。 オープンソースのOSであるLinuxが、最重要システムを動かしているのはなぜなのでしょうか?
また、今話題になっている「人工知能(AI)」や「フィンテック(Fintech)」も、オープンソースが使われているといいます。
そんな、オープンソースの重要性と、最新の動向について、NPO法人LPI-Japanの理事長である成井弦氏にセミナーで教えていただきました。

オープンソースの重要性と、日本人技術者に求められるスキルとは

2016年9月21日(水)、インターネット・アカデミー渋谷校にて、LPI-Japanの理事長である成井弦氏にお越しいただき、「次世代のオープンソース活用セミナー ~人工知能(AI)・フィンテック(Fintech)の市場動向~」というセミナーを開催しました。

LPI-Japanは、日本におけるLinux技術者の技術力認定活動を通じて、ITプロフェッショナルを育成することを目的としたNPO法人で、Linux技術者認定試験「LPIC」を運営しています。90分の濃密な内容に、多くの受講生が熱心に聞き入っていました。

どうして最先端分野はオープンソースなのか?

Linuxは世界の証券取引所の約80%の基幹システムで使われ、スーパーコンピュータ、Fintech、金融系の多くのシステムで採用されています。 また、AIなど最先端分野のプログラムのほとんどがオープンソースです。なぜ、オープンソースソフトウェア(OSS)が選ばれるのでしょうか?

それは、「ソースコードを公開して皆で良くしていく」というOSSの仕組みに理由があります。
OSSにおいては、開発者はコードに名前を表示し、無料ですべてのコードを公開します。 そして「このコードを改良したら私の元に送って下さい。よいコードを送ってくれたら、次のバージョンでその案を取り入れます。また、コードに改良した人の名前を載せます」 と告知します。
すると多くの技術者が無報酬で改良案を出してきます。 お金で雇われてコードを書くよりも、無償で貢献する人の方が高いモチベーションを持っています。そうして世界中の優秀な人が協力すれば、一企業よりはるかに高い開発力を発揮します。

貢献した人も、有名なOSSのコードに名前が載れば、講演依頼など様々な良い効果が起こります。こうして、金銭に限らない報酬の枠組みができると、技術の積み重ねが急速に進むのです。

金融機関がLinuxを使う理由

次世代のオープンソース活用セミナー ~人工知能(AI)・フィンテック(Fintech)の市場動向~ 開催レポート 写真2

クローズドソフトウェアの場合、たとえばあるSI会社がX社のOSを使ってシステムを開発した場合、SI会社はX社の規定する補償以上の保証を提供することができません。 コードのクローズド部分に責任が持てないからです。
しかし、OSSの場合、SI会社はコードをすべて理解していますので、自社が開発したソフトと同様の補償を提供できます。 OSSならばソフトウェアメーカーの仕様外のことも実現可能です。また、世界中の金融機関が使っているので、早く、安く、信頼性の高いシステム構築が可能です。

第3次AIブームとAIビジネスの特徴

今は第3次AIブームが起こっています。
第2次AIブームの際は、ある専門家の能力を「if,then」に置き換えて機械に入力し、データベース化する「マシンラーニング」が機械学習の方法でした。

今は「ディープラーニング」という、機械が自ら事象の特徴を学習する方法が登場しています。 たとえば、世界中の猫の写真をインターネット上から集めてきて読み込み、猫はどういう特徴を持っているのかを抽出します。

AIビジネスの特徴としては、以下が挙げられます。

  • プログラムの1%にAIを利用しても99%に利用してもAIを使ったソフトと呼べること
  • マシンラーニングでもディープラーニングでもAIシステムであること
  • AIという言葉はマーケティングの際非常に強力だが、過度の期待が生まれ、現実とのかい離が大きく、第2次ブームが去った。第3次ブームもそうなる可能性が大きい
  • しかし、AI技術の進歩と利用は着実に進む

また、次世代技術であるAI、IoT、Big Data、Mobileの組み合わせが新たな市場を生み出します。 自動車の自動運転がそのよい例です。

貢献の競争とソフトパワー

複数システムで取引履歴を分散管理する技術、BlockchainもOSSです。
OSSでは、最大の貢献をした個人や企業が最大の利益を得ます。得意分野で自社コードが採用されれば、その分野においては自社が圧倒的な優位性を築けます。 結果として、技術に覚えのある者がこぞって「貢献の競争」に挑むのです。

貢献の競争のように、ビジネスにおいて、指揮権を持たず、金を使わずして相手を自分の思うように動かせる力をソフトパワーといいます。 オープンソースムーブメントが作り出した新たなビジネスモデルは、すべての分野に影響を与えていくでしょう。

まとめ

世界の基盤OSとして、重要な役目を担うLinux。 日本のIT企業もIT技術者も、Linuxの知識や技術を身につけることが大切です。

インターネット・アカデミーでは 「サーバー講座」にて、Linuxの技術者認定資格「LPIC」の試験対策を行っています。 これを機にLinuxについて学んでみませんか。お問い合わせをお待ちしています。

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現在、マサチューセッツ工科大学のW3C本部に在籍し、HTML開発とインターネット・アカデミーのカリキュラム開発を担当する。

海外支店責任者として、アメリカとインド、日本を行き来する。5年間、マサチューセッツ工科大学のW3C本部に在籍し、HTML開発と普及活動を行ってきた経歴を持つ。

日本の新宿校、渋谷校インストラクター。主にWebマー ケティングとクリエイティブ系の授業を担当。

バンガロール校インストラクター。デジタルマーケティング が専門分野。

Google認定Webマーケティング講座の企画・開発に携わる。「PHPカンファレンス2011」で講演。「PHP公式資格教科書」の執筆など

バンガロール校支店長。Webプロデューサー、インストラクター、エリアマネージャを経て、現在はグローバル展開のビジネスディベロップメントを担当。

「W3C"HTML5 Tour"」での講演や、インド校にてWebデザイナーおよびチーフインストラクターを勤めた経歴を持つ、人気キャリアプロデューサー。

フランスにあるW3CのEUホスト、ERCIM(欧州情報処理数学研究コンソーシアム)に常駐し、Webの研究を行うインド人インストラクター。Webマーケティングに精通している。

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